本研究では,超高速大容量かつ高信頼でユビキタスな通信を実現する5G(第5世代携帯電話網)の有力な選択肢として注目が集まっているFiWi(FiberWireless)システムに着目し,多種多様な端末間接続・サービスが混在する環境においても高品質な通信サービスの提供を可能にする技術の開発を目指した.昨年度までは,通信要求特性を自律的に推定し,通信機能を動的に再構成することについて,技術や仕様的な観点から課題の洗い出しを行い,その解決策について検討を重ねてきた. その検討を踏まえ今年度は,実証実験に取り組んだ.実証実験では,これまでの検討を基に確立した実験用状況変化適応型FiWiシステムを用いて,モデル化された動的設計理論の検証と知的制御エンジンの高度化と最適化のための研究を実施した.ネットワークシミュレーションを用いた実験を行うことにより性能評価を行い,システムの有効性を検証した.シミュレータを用いて通信トラフィックの連続的な変化を模擬し,実験結果として,サービス要求や通信規模,端末密度等が異なるどんな環境下においてもこの提案技術の適用が有効的であることが示された. また,昨年に引き続き,実証実験には大学院生を動員し,プログラミング作業,通信環境を変化させた場合の比較実験実施,実験データの整理等の補助をしてもらい,若手研究者の育成にも貢献した. 本研究全体を通して,今まで培ってきたネットワーク制御に関する知見や見識を活かすことで様々な角度から研究課題に対してアプローチが可能となり,より高度な研究成果を得ることができた.
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