研究課題/領域番号 |
18H03232
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
太田 能 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (10272254)
|
研究分担者 |
鎌田 十三郎 神戸大学, システム情報学研究科, 講師 (20304131)
榎並 直子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (80628925)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | サービス構築基盤技術 / 画像情報処理 / ネットワークプロトコル / エッジコンピューティング |
研究実績の概要 |
自動運転の要素技術としてもエッジコンピューティング(EC)を利用し、歩行者検出精度を高めることが望まれており、本研究は、ECアプリ開発支援と自動車対歩行者交通事故の減少の双方に寄与することを目指している。 本年度は、この目的を達成するために、以下の3つの課題に取り組んだ。課題1では、プリケーション開発者が低遅延アプリケーションを実現できるように、データ更新に応じた即時処理を可能とし、さらには、関連サービスの起動や関連デバイスへのデータ配信といったデータ連携に加え、アプリケーションの特徴を用いた明示的分散データ管理も可能となるような情報・通信連携基盤の実現を目指し、より抽象度の高い宣言的ルールの導入を進めた。また、データアクセス保護として、粒度の細かいIoT デバイスやユーザ単位のアクセス保護を容易に実現可能とするデータ構造について検討し、実装を行った。 課題2では、別車両からの歩行者認識情報が同一人物かどうかを結びつける Re-Identificationを行うことにより、デッドスポットにいる人物を高い確率で検出し、かつ、不要なアラートを削減することをねらう方法について、平成30年度に車載カメラから撮影した映像データを用いて、より実際に近い環境を模した条件下において性能評価を実施し、Re-Identificationの有効性を検証した。また、キャンパス内で新たな画像データの取得にも取り組んだ。また、周辺画像情報や位置情報など他のセンサー情報との連携についても検討した。 課題3では、車車間通信を主に対象として、アラートなどの情報を広域に配信するフラッディング方式(アプリケーション)について基礎検討を行うとともに、路側器の相互接続に活用可能なマルチチャネルメッシュネットワークの設計手法の開発、路車間通信に適した適応変調方式に関する研究を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に取り組んだ三つの課題についての進捗は以下の通りである。 課題1では、計画に沿って、当初の低級言語による処理・配信ルール記述から、より抽象度の高い宣言的ルールの導入を進め、また、データアクセス保護として、アプリケーション単位のアクセス保護ではない、より粒度の細かいIoT デバイスやユーザ単位のアクセス保護を容易に実現可能とするデータ構造の実装を行った。また、電子情報通信学会英文論文誌に1件掲載された。課題2では、別車両からの歩行者認識情報が同一人物かどうかを結びつける Re-Identificationを行うことにより、デッドスポットにいる人物を高い確率で検出し、かつ、不要なアラートを削減することをねらう方法について、平成30年度に車載カメラから撮影した映像データを用いて、より実際に近い環境を模した条件下において性能評価を実施し、Re-Identificationの有効性を検証し、国際会議IEEE ITSC2019において発表を行った。課題3では、車車間通信を主に対象として、アラートなどの情報を広域に配信するフラッディング方式(アプリケーション)について基礎検討を行うとともに、路側器の相互接続に活用可能なマルチチャネルメッシュネットワークの設計手法の開発、路車間通信に適した適応変調方式に関する研究を実施した。マルチチャネルメッシュネットワークの設計手法については、SmartCom2019でBest Paper Awardを受賞した。成果発表としては、全体で口頭発表1(研究会1)、国際会議発表2(査読有り)、学術論文2(査読有り)となった。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、三つの課題として以下の内容に取り組む。 本研究では、前述した目的を達成するために、本年度は上記3つの課題に関し、以下の内容に取り組む。 課題1では、汎用的なKey-value型データベースに対して、アプリケーション開発者が低遅延アプリケーションを実現できるように、データ更新に応じた即時処理を可能とし、さらには、関連サービスの起動や関連デバイスへのデータ配信といったデータ連携に加え、アプリケーションの特徴を用いた明示的分散データ管理も可能となるような情報・通信連携基盤の実現を目指しており、次年度は、本年度の抽象度の高い宣言的ルールの導入の取り組みを受け、処理・配信ルールの高級言語設計に取り組む。また、データアクセス保護として、アプリケーション単位のアクセス保護ではない、より粒度の細かいIoT デバイスやユーザ単位のアクセス保護を容易に実現可能とするデータ構造の実装と評価に取り組む。 課題2では、別車両からの歩行者認識情報が同一人物かどうかを結びつける Re-Identificationを行うことにより、デッドスポットにいる人物を高い確率で検出し、かつ、不要なアラートを削減することをねらう方法について、位置情報等とも組み合わせた場合の性能評価に取り組む。また、実証実験のためのデータセットの構築に取り組む。 課題3では、仮想化環境における情報通信基盤の評価・検討を行う。また、車車間通信を想定した、5G並びにDSRCの通信特性についての調査を行う。 これらの成果について、主に国内を中心として学会発表を行うとともに、国際会議への投稿も行う。
|