本研究では、食事記録の負担を下げるための取り組みを行う。パーソナライゼーションに対処する技術の高度化を行い、食事写真の認識、特定人物の記録の解析の技術基盤を構築した。2020年度の研究実績を列記する。 (1)新FoodLogの開発、公開、運用、検証: これまでのFoodLogで網羅的な収集が困難であった栄養データを収集するための新しいFoodLogを開発し、ユーザ版のiPhoneアプリ、Androidアプリ、さらに管理栄養士側の管理用アプリを公開し、スポーツ管理栄養士とそのアスリートを中心に利用できる運用を始めた。管理栄養士は、グループを管理し、各個人の記録を閲覧、修正を行い、指導するコミュニケーションができる。数十人規模のチームの食事管理や栄養調査に実用されている。運用を通じて、継続的な改善を進めた。また、外部で連携する栄養研究者とこのツールで取得できる栄養価の検証を行った。 (2)パーソナライズ食事認識認識のブースティング:個人データだけでなく、ユーザデータをより広く活用することにより、認識器の適応度を向上させうることを示した。個人のデータ、共有するデータの利用において、適切な重みを設定し、既存手法を大きく上回る性能向上を確認した。 (3)食事と健康度の調査:新FoodLogを介した食事調査と健康度の調査を実施した。同様の調査を、コロナ禍前の前年度にも実施しており、同一の調査学生17名に対して、緊急事態宣言下での、食事と健康度に関しての調査を行った。質問票から、身体的健康度、社会的健康度は大きく減じていた。一方、精神的健康度に関しては、平均はかわらず、減、維持、増の3グループが確認された。生活形態、食事形態、食事の詳細に関しては、3グループで際立った特徴が確認された。
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