研究課題/領域番号 |
18H03257
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中村 友哉 東京工業大学, 工学院, 助教 (70756709)
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研究分担者 |
遠藤 優 金沢大学, 機械工学系, 助教 (50803293)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ホログラム光学素子 / 圧縮センシング |
研究実績の概要 |
これまで,複数像情報の一括計測を目的として,vHOEによる変調と多重化計測に基づく符号化,及び圧縮センシングに基づく信号分離再構成による復号の組み合わせを前提に撮像モデルの検討を進めてきた.一方で,この方式では複雑な階調を有する複数自然画像の撮像には十分な性能を実現できないことが明らかになった.このことを考慮し,今年度は符号化及び復号手法の見直しを中心に研究を実施した. 設計した新しい方法では,振幅透過マスクなどの非回折光学素子開口を用いたレンズレス光学系により複数像情報を光学的に一括符号化し,像面でフィルタを用いて像情報を分離計測する.この時,個別の符号化像は空間的に疎らに計測される.開口構造の設計により圧縮センシングを有効化するセンシング系を実装できるため,画像再構成の際に圧縮センシングに基づき疎な計測情報から密な画像情報を再構成する.シミュレーションに基づき有効性を検証した結果,これまでの手法と比べて10dB程度再構成画像の画質の向上を実現できることが確認された.また,解像度チャートを被写体に用いた提案手法に基づく光学実験により,実環境下で複数の像をセンサ解像度で一括取得できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案手法の原理の改善,性能評価,原理実証まで終えており,研究目標に対して概ね順調に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
実機構築を進め,実デバイスを用いる際に現れる具体的な問題の対処,及び実環境下での撮像性能の評価を進める.特に,提案手法では斜入射光を計測する必要があるためにオンチップマイクロレンズアレイが配置されていない撮像素子を撮像系に用いる必要があるが,画素混色による撮像への悪影響が懸念される.現段階で当該撮像素子の調達及び動作確認まで完了しており,今後混色が画像再構成へ与える影響を解析するとともにソフトウェアアプローチによる問題の解決を目指す.他にも,撮像系実機の光学パラメータの最適設計,開口及び治具の製作,ショットノイズの影響の解析及びその対処などを行う.
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