研究課題/領域番号 |
18H03263
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯山 将晃 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (70362415)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / 散乱現象 / 3次元計測 |
研究実績の概要 |
光の散乱により一見対象が視認できないほど劣悪な環境下でも物体の形状計測が可能となる技術の開発を目的として,今年度は,散乱現象を再現する実験装置を構築するとともに,汚濁環境下での形状計測技術を開発した.実験装置としてこれまでに構築してきた水槽と高感度カメラによる計測システムに加え,大型水槽を用いた計測システムの構築に着手した.また,形状計測手法として,汚濁環境下では無視できない前方散乱を含めたモデルを構築し,そのモデルに基づく形状計測手法を研究した. カメラでは,光源から照射された光が物体表面で反射しカメラに直接到達する表面反射光,物体表面には到達せず散乱媒体中で散乱しそれがカメラへ到達する後方散乱が主に観測される.しかしながら,一見対象が視認できないほど散乱媒体の濃度が高い環境下では,散乱光を光源とする表面反射光や,表面反射光を光源とする散乱光などの前方散乱が無視できないほどの大きさとなる.本研究ではこのような前方散乱の生成モデルを構築し,このモデルに基づいて改良された照度差ステレオを行う技術を開発した.これにより,物体が静止していることが条件ではあるが,見対象が視認できないほど散乱が大きい環境下でも物体の形状が計測できることを示した. また,劣悪環境下での物体計測技術手法として,学習に基づく計測手法について研究を開始した.学習に基づく手法では教師データが必要であるため,今年度はまず学習データセットの構築と,ニューラルネットワークによる自己符号化器に基づく手法の開発に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目的であった,前方散乱モデルを用いた形状計測技術の開発については順調に開発できており,十分な成果が得られている.また,2019年度に実施する予定だった計画についても一部は研究に着手できており,全体的に順調に研究が進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,引き続き散乱媒体の濃度が高い環境下における計測手法について研究を進めるとともに,あらたに学習に基づく計測手法についても研究を進めていく予定である.学習に基づく手法では近年国内外で多くの研究がなされており,それらの最新の成果も踏まえつつより性能の高い新たな技術を研究していく.
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