研究課題/領域番号 |
18H03267
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
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研究分担者 |
岩本 祐太郎 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (30779054)
韓 先花 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60469195)
古川 顕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80199421)
金崎 周造 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90464180)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝腫瘍性病変 / 多重線型理論 / スパース符号化法 / 計算機診断支援 / 深層学習 / 肝臓腫瘍の分類 / 類似症例検索 |
研究実績の概要 |
肝臓がんは、平均5年生存率が30%程度とがん全体の中でも極めて低く、正確な診断に基づく早期発見が求められる。肝臓がんの診断には、多時相CT画像(造影剤を急速注入してから経時的に複数回の撮像を行なって得られたCT画像)がよく用いられる。本研究では、肝腫瘍性病変の計算機支援診断法の確立を目的とし、多時相CT画像から有効な時空間特徴抽出のフレームワークを構築するとともに、診断の参考となる過去の類似肝腫瘍性病変症例を検索できるシステムを開発した。既存手法は、個々の時相CT画像から特徴を抽出し、それらの特徴ベクトルを繋いで時空間特徴として病変分類または類似症例検索に使用していたが、時相間の共起関係を記述することができず、分類または検索の精度は十分ではなかった。本研究では、多時相CT画像を一つのテンソルとして取り扱い、我々が開発したテンソルスパース表現法を用いた時相間の共起を考慮した時空間特徴抽出法を提案し、多時相CT画像を用いた肝腫瘍性病変の分類精度ならびに類似症例の検索精度を向上させた。また、提案法の有効性について計算機実験による検証だけではなく、医師による検証実験も行い、その有効性を確認した。さらに、近年注目されている深層学習法を用いた肝臓腫瘍の分類と類似症例検索法を開発した。より高精度な分類と検索ができるようになった。それらの成果は、国際学術誌Pattern Recognition Letter, 医用画像情報学会誌、およびトップ国際学会MICCAI2019, IEEE ICIP2019などで発表した。また、医用画像情報学会誌で発表した論文は、学会の金森奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りに、テンソルスパース表現法を用いた時相間の共起を考慮した時空間特徴抽出法を提案し、多時相CT画像を用いた肝腫瘍性病変の分類精度ならびに類似症例の検索精度を向上させた。それに加えて、近年注目されている深層学習法を用いた肝臓腫瘍の分類と類似症例検索法を開発した。より高精度な分類と検索ができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の令和2年度においては、以下の計画で研究を推進していく。 (1) これまでCT画像を対象に研究を行なってきたが、肝臓腫瘍の鑑別にMRI画像がより豊富な情報を持っているので、多時相MRI画像データベースを構築すると共に、MRI画像を用いた肝腫瘍性病変の診断支援法を開発する。 (2) これまでの手法をベースに、肝臓腫瘍の計算機支援システムを開発する。肝臓腫瘍の分類(鑑別)システムと類似肝臓腫瘍検索システムの両方を開発する。 (3) 悪性肝臓ガン(HCC: Hepatocellular Carcinoma)に対して、治療後に早期に再発するかどうかの予測法を開発する。
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