研究課題
本研究の目的は、両眼の輻輳と水晶体の調節に矛盾を生じない自然な拡張現実感3次元表示が可能な2眼ステレオ超多眼方式網膜投影型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を開発し、これを用いた効果的な拡張現実感インタフェースの手法を確立することである。本研究では、超多眼方式のシースルー網膜投影型HMDを用いて2眼ステレオ方式超多眼HMDの開発を目的とするが、2018年度は3D表示に用いる複数の視差画像を網膜上へ時分割多重投影表示を行うことによって視差画像の画質を劣化させずに、高画質の3D映像を表示できる超多眼状態を実現する単眼の表示システムの試作と原理確認を行った。2019~2020年度は、より自然に水晶体の調節作用を誘導することを目指し、網膜上へ時分割多重投影表示を行う視差画像の数や投影位置を柔軟に変化させることができるように投影光学系を改良し、表示距離に応じてぼけの状態が異なる映像を混在させる手法を提案し、異なった距離に複数の仮想物体を同時に表示することによってその有効性を確認した。2021年度は、2眼ステレオ表示に基づいた3次元表示を行うために単眼の超多眼HMDを2つ組み合わせた2眼ステレオ超多眼方式網膜投影型HMDを試作し、試作システムによりその有効性について評価を行った。評価の手法として、水晶体(カメラ)の調節作用による合焦・ぼけの程度を定量的に評価する調節分離度と、2眼ステレオ立体視における輻輳機能の誘導の程度を定量的に評価する輻輳分離度の2つの評価指標を定義し、試作システムを用いて、注視点(眼の焦点位置)に対応した仮想映像だけを鮮明に観察できることを確認した。また、仮想映像の提示できる距離については、主に調節作用が有効である2メートルぐらいまでの距離から、主に輻輳が有効となるより遠方の距離まで、シームレスに、輻輳と調節の乖離がない3D表示が可能となることを確認した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. SPIE 12024, Advances in Display Technologies XII
巻: 12024 ページ: 120240F-1-8
10.1117/12.2608438