本研究の目的は,多人数の脳活動を同時計測可能なワイヤレス時刻同期ウェアラブル脳波計を開発し,多人数が実環境に近い形でコミュニケーションをしているときの「共感」に関しての研究を行うことである.共感を脳波で計測するためには,複数人で同時に脳波計測が実施できる必要がある.同時に計測をする上で,脳波計間で同期して計測できることが必須となる.脳波の時間分解のはミリ秒であることから,脳波計間の同期精度はマイクロ秒以上の精度で同期することが求められる.このように同期して計測するためには,既存の脳波計測デバイスでは,有線でデバイス間を接続する場合が多い.そこで,本研究では,無線でありながら,100台以上がマイクロ秒以上の精度で同期が可能な時刻同期Bluetoothモジュールを研究代表者が開発したウェアラブル脳波計に実装し,ワイヤレス時刻同期ウェアラブル脳波計を開発することに成功した.現在,10台の開発に成功している.研究代表者がこれまでに開発していたウェアラブル脳波計は,導電性のジェルが不要であり,我々の脳波計で使用している電極の入力インピーダンスは,海外製の物に比べて一桁以上高いことから,計測精度も高い.これにより,複数人の同期脳波計測が可能となった.今後は,複数人での動画視聴を行い,そのときに開発したワイヤレス時刻同期ウェアラブル脳波計にて脳波計測を行うことで,共感に関する脳波データを取得し,解析を行っていく予定である.
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