研究課題/領域番号 |
18H03285
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 理史 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30205918)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 文章構造のモデル化 / 文章の自動生成 / 文章の構造解析 / 広告の自動生成 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の研究を実施した。 (1)入試問題の評論文を対象に、文章中に含まれる対比構造を検出する方法について検討した。まず、2つの対比要素の転換点となる転換フレーズを検出し、そのフレーズの出現位置に基づいて、2つの対比要素の範囲を推定する。その後、対比キーワードを抽出する。一文内の対比構造、および、一段落内の対比構造に対して実験を行い、前者では転換フレーズの検出が、後者では対比要素範囲の推定が難しいことが明らかになった。 (2)通信販売商品のTV60秒広告の台本を自動生成するシステムを実現するために、広告に使われる文(コピー文)と台本の文章構造の分析を行なった。TV広告のコピー文は、発話者(誰がどんな立場で発話しているか)、 発話内容(何について発話しているか)、発話タイプ(聞き手にどのように働きかけているか)という3つの観点で分類することができ、特に、聞き手に働きかける文に特徴があることがわかった。広告のアプローチには、直接導入型、間接導入型、効用主導型、ユーザー中心型などがあり、台本の文章構造は、典型的には、注意喚起、商品訴求、ショップ(売り方情報の提示)の3部構成をとる。商品がサプリメントの場合は、愛用者であるユーザーが登場し、商品の感想を述べる要素が挿入される場合が多いことなどが判明した。 (3)上記の分析に基づき、通信販売商品のTV60秒広告の台本を自動生成するシステムを試作した。システムは、商品に関する情報を記述するコンテンツ、文章構造を規定するシナリオ、および、コピー文を自動生成するMiG(Micro Generator)などからなる。このシステムをバックエンドシステムとして動作する、台本作成支援インタフェースも試作した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TV60秒広告の台本の自動生成システムに関しては、文章構造のモデル化、およびそのシナリオ化が予定よりも遅れている。文章解析に関しては、予想よりも問題が難しく、手探りの状況が続いている。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)TV60秒広告の台本の自動生成システムに関しては、文章構造のモデル化、およびそのシナリオ化を中心に研究を進め、より多くのバリエーションを生成できるようにする。同時に、ソフトウェアの汎用化を推進し、コンテンツやシナリオを変更するだけで、他の種別の文章(たとえば、短編小説の文章)が自動生成できるようにする。 (2)文章解析に関しては、入試の接続詞補充問題を中心に、連続する文の接続関係を推定する方法に注力する。特に、各文の文末の述語の範囲とその種別判定を実現することを大きな目標とし、日本語文の文末述語解析技術として定式化することを試みる。このような文の類型化に基づき、文間関係がどの程度推定できるかを検討する。
|