研究課題/領域番号 |
18H03294
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
大和田 勇人 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 教授 (30203954)
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研究分担者 |
堂腰 顕 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部 酪農試験場, 研究主幹 (40506606)
大島 一郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (60465466)
窪 友瑛 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部 酪農試験場, 研究職員 (50825338)
鍋西 久 北里大学, 獣医学部, 講師 (90575151)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 機械学習 / 帰納学習 / 乳牛 / 繁殖 / 視覚化 |
研究実績の概要 |
今年度は実証牧場にて実験を行い、その結果をまとめた。 泌乳牛8頭を供試した試験を1回実施し、社会的順位と行動的特徴および発情兆候との関連性を調査した。調査期間中に飼槽優先法により、社会的順位を3度調査したところ、調査時期による大きな順位変動は見られなかった。また、飼槽優先法による順位決定とビデオ観察(闘争行動の勝ち・負け・分けを判定し、その勝率で順位づけ)による順位決定を比較したところ、下位3頭の順位は一致していた。飼槽優先法により把握した社会的順位により、上位および下位に供試牛を分類し、発情発現の程度、内分泌動態の違いおよび飼料摂取量や摂取パターンを比較した。歩数による発情検知率は、下位牛と比較して上位牛で高かった(P<0.05)。発情が認められた牛においても、発情持続時間は下位牛と比較して上位牛で長かった。上位牛の血中プロジェステロン(P4)濃度は、排卵前に急激に低下した。一方、下位牛では、排卵前のP4濃度の低下が緩慢だった(P<0.01)。また、上位牛の血中エストラジオール濃度は、排卵前に急激に上昇し、ピーク濃度は下位牛よりも高かった(P<0.01)。採食行動については、上位牛での飼槽訪問回数が多く(P<0.05)、訪問回数ごとの飼料摂取量および飼槽滞在時間は、上位牛で少なかった(それぞれP<0.1、P<0.05)。 システム開発としては、画像から個体識別するプログラムを作成し、個体ごとの移動軌跡をデータとして取得し、そこから活動に関する特徴量(給餌機滞在時間、歩行時間、その他の時間)を算出し、合わせて、加速度データも収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
泌乳牛の社会的順位関係を実験にて見出し、関係するデータの取得に成功しており、これを踏まえて、活動量や行動解析を通じて、機械学習により社会的順位に基づく発情予測を行うモデルが構築できると期待されるため。
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今後の研究の推進方策 |
センサー情報と機械学習による情報工学的アプローチとDairy Scienceのアプローチを融合させるべく、相互の打ち合わせを頻繁に行い、論文発表等、具体的な成果を両方の立場から進めていく。具体的には、ビデオ観察と内分泌系データの計測は昨年通り進め、情報工学からは加速度センサーや画像処理による行動解析の自動化を進め、機械学習によるモデル構築を実施した後、モデルの性能評価を相互に進めていく。最後に、酪農試験場、鹿児島大学、北里大学が扱っている実証牧場に本システムを導入し、その統計的優位性を明らかにする。
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