研究実績の概要 |
2020年度は2019年度から継続して,確率伝搬法による確率的グラフィカルモデルの教師あり学習の定式化を一般化された密度行列の教師あり学習へと拡張することで教師あり量子統計的機械学習理論の実装を行いつつ,同時に研究代表者が潜在変数間に相互作用のない確率的グラフィカルモデルに対して提案した量子力学的に拡張されたEMアルゴリズム(期待値最大化アルゴリズム, Expectation Maximization Algorithm)の潜在変数間に相互作用を持つ量子統計的グラフィカルモデルへの拡張を継続して進めた.さらに2019年度においてTon Coolen教授(Radboud University, Netherlands)との協力関係のもとで行った量子力学的に拡張された機械学習アルゴリズムの動的性質の統計解析手法を動的レプリカ法の導入を継続して行う予定であったが,新型コロナ感染拡大のためオランダへの渡航が困難となり,2021年度への繰越により持ち越さざるを得なかった.また,2019年度のFederico Ricci-Tersenghi教授(University de Roma, La Sapienza, Italy)との研究打ち合わせにより着想を得た確率的グラフィカルモデルの一次相転移の発現機構の準安定状態の列挙を通しての解析法を量子統計的機械学習理論にも展開することも同様の状況により2021年度に持ち越さざるを得なかった.2021年度も新型コロナ感染状況は改善しなかったため,リモートによる打ち合わせの中で計画を続行し,量子力学的に拡張された機械学習アルゴリズムの動的性質の統計解析手法および確率的グラフィカルモデルの一次相転移の発現機構の準安定状態の列挙を通しての解析法について定式化を行い,その成果の一部はSpringerからの書籍として出版した.
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