研究課題/領域番号 |
18H03310
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉原 知道 大阪大学, 工学研究科, 招へい准教授 (70422409)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロボティクス / 運動制御 / 力学系 / 人型ロボット / 運動知能 |
研究実績の概要 |
本研究では、力学系としてみた人型ロボットの構造を、重心のなす低次元力学系(上位力学系)と四肢のなす力学系(下位力学系)によって階層的に表現し、それがさらに連続的に変容することで多様な全身動作を統合的に記述・創出する枠組の確立、およびそれに基づく制御器開発を目的としている。4つの課題を並行して進めている。課題1は力学系階層化が可能な数理的背景を考察することであり、初年度にほぼ完了した。課題3は上位・下位力学系を効果的に結合する制御アーキテクチャの考案であり、本年度はあまり進展が無かった。残り課題2と4のそれぞれについて、本年度実績を以下に記す。 課題2:下位力学変容系の開発 物体操作を含む外界とのインタラクション制御について、未知物体との相互作用した際に生じる力の情報を用い、安定性を保証しかつ対象物の運動特性を適応的に取得する制御器を設計した。シミュレーションを併用した検証をある程度進めた。 課題4:実験用人型ロボット開発 本年度は手部の機構設計にほぼ注力し、人の手の運動特性を再現する機構に能動関節・受動関節をどのように配置するかを議論・考察した。 また上記には含まれないが、上位力学系の制御に関してロボットの機動性、特に大きな摂動を受けた際の適応的振舞を促進する制御器設計の議論を行った。具体的には、立位制御、歩行、跳躍、走行をシームレスに行えるようにし、さらに現在の運動状態に基づいてそれらを適応的に切り替える機構を考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、課題3にはあまり進展が無かった。前年度課題1にて得られた、理論的に厳密な方法ではなくロボット制御への適用を考えたときにより好ましい方法を基本として制御アーキテクチャの考案と検証を行っているが、直接担当している学生の進捗管理を効果的に行えなかったことが遅れの原因であり、反省する。課題2は、角運動量補償運動まで議論を行う予定であったが、これにも着手できていない。 ただし、未知物体操作に関しては懸案であった安定性の保証を行うことができたのは大きな収穫であった。また、上位力学系の制御に関して、ロボットの機動性、特に大きな摂動を受けた際の適応的振舞を促進する制御器の設計に新たな道筋をつけることができた。当初予定に無かった内容で、本研究の主題にも深く関係する成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
課題2~4を引き続き進める。課題2にはある程度の進展が既にあるので、課題3の方を次年度の重点課題とする。
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