本研究では、力学系としてみた人型ロボットの構造を、重心のなす低次元力学系(上位力学系)と四肢のなす力学系(下位力学系)によって階層的に表現し、それがさらに連続的に変容することで多様な全身動作を統合的に記述・創出する枠組の確立、およびそれに基づく制御器開発を目的としている。4つの課題を並行して進めている。課題1は力学系階層化が可能な数理的背景を考察することであり、初年度にほぼ完了した。残り課題2~4それぞれについて、本年度実績を以下に記す。 課題2:下位力学変容系の開発 昨年度成果としてロボットの接地期・浮遊期をシームレスに扱う上位力学系設計(重心制御)理論が進展したことに合わせて、下肢運動制御について主に進めた。動作種類の拡大により多様化した各足の接地・非接地遷移パターンを、力学系表現の観点から整理した。またモデル予測制御を応用して、簡便な時変フィードバック制御による到達運動制御器を開発した。 課題3:上位・下位力学系を結合する制御アーキテクチャの考案 上位力学系は仮想的な低次元力学系として表現される。従来は単純に逆運動学や逆動力学を用いて、これを四肢運動を伴う全身力学系に拡大写像する方法がとられていたが、低次元力学系には身体の運動学的制約が課されないため、両者の乖離を防ぐ慎重な運動設計が必要だった。これを、後者も独立な力学系として表現し、両者を仮想的に相互作用させることで自然と乖離による破綻が防がれる制御アーキテクチャを開発した。 課題4:実験用人型ロボット開発 上記制御アーキテクチャの実現に必須となるモータドライバの小型化に取り組んだ。 その他、構築された力学系と外界認識・誘導機能を組み合わせて未知環境内自律移動人型ロボットシステムを開発した。
|