研究課題
基盤研究(B)
力学系としてみた人型ロボットの構造を、重心のなす低次元力学系(上位力学系)と四肢のなす力学系(下位力学系)によって階層的に表現し、それがさらに連続的に変容することで多様な全身動作を統合的に記述・創出する枠組の確立、およびそれに基づく制御器開発を行った。力学系階層化が可能な数理的背景の考察、下位力学変容系の開発、上位・下位力学系を効果的に結合する制御アーキテクチャの考案、実験用人型ロボット開発を具体的課題として進めた。
ロボティクス
大自由度な人型ロボットの状態空間を身体力学の階層性に基づいて構造化することで、力学変容の利点を生かした全身制御器設計に明解な道筋を与えることに、本研究の学術的意義がある。ロボットの動作レパートリーを加算的に開発する従来方法とは逆の、既存動作と新規動作の共通項に基づき制御器を汎化することでレパートリーを増加するアプローチを可能にする。本研究により、人以上の運動能力を持つ人型ロボットの登場が現実味を帯びる。被災地の復旧等へのロボット応用が切実に望まれる今、その社会的意義は大きい。