研究課題/領域番号 |
18H03317
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
石川 智治 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (90343186)
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研究分担者 |
柳田 佳子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (60409323)
矢中 睦美 文化学園大学, 服装学部, 教授 (70386316)
三井 実 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (70535377)
森 博志 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (80538447)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 布地質感評価空間 / 布地属性の相違 / 視感技術 / 触感技術 |
研究実績の概要 |
令和2年度の実績について,布地の質感評価空間の研究開発,布地の視感技術の研究開発,布地の触感技術の研究開発の観点から以下に示す. まず布地の質感評価空間の研究開発では,国内外の被験者群における布地の質感評価空間を正確に比較するために,布地質感評価時の環境統一を目指した移動式実験ブースの設計および開発を行った.更に,布地質感評価の環境内における,布地の表面温度や被験者の布地接触時の手の皮膚温度が温冷感評価などに与える影響を明らかにし,実験環境変容における布地の質感評価傾向の知見を獲得した[国内発表:1件※受賞].開発した移動式環境下における実験と実験環境変容に対する評価傾向の知見に基づき,コロナ禍で延期している国外被験者による布地質感評価実験が実施できれば,被験者群に対する布地質感評価空間の構築と正確な比較が可能となると考えている. 次に,布地の視感技術の研究開発では,布地質感の「やわらかい―はりのある」の評価に関連する,布地ドレープの動的変化における視覚情報(布地提示領域や揺動状態など)を明らかにした[国内発表:2件※受賞].また,布地質感の「粗さ―滑らかさ」の評価における,布地属性(素材や構造)による相違などを明らかにした[国内発表:1件].更に,布地質感の「伸縮性」の評価に関連する,布地伸縮時の動的な視覚情報を明らかにした[国際会議:1件]. 最後に,布地の触感技術の研究開発では,布地接触時の手の皮膚温度(生理特性)・温冷感評価(心理特性)・熱流束など(物理特性)の相互関係を布地属性による相違も含めて明らかにし,触感提示の新デバイスの設計や開発のための基礎的データを獲得した[国内発表:1件]と共に,それらを実現する接触型デバイスの試作を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
布地質感評価空間の研究では,国外被験者による実験実施がコロナ禍で滞っているものの,実験環境統一を目指した実験ブースが開発され,実験環境変容に対する布地質感評価への影響を明らかにできたため(発表:表彰獲得),実験実施後のより円滑な成果獲得が期待できる.また布地の視感技術の研究では,布地質感の“やわらかさ”や“伸縮性”の評価を可能にする映像表現として,被験者の布地質感の判断に活用している視覚情報を明らかにできたため(発表:表彰獲得),布地の質感を判断し易いCG映像などの提示技術開発に対する知見獲得となったといえる.また布地の触感技術の研究では,布地接触時の温冷感評価に影響する,心理・生理・物理の相互関係が明らかにできたため,接触・非接触刺激の提示技術開発を開始することができ,最終的な触感技術の開発への第一歩となった.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進の方策として,布地質感評価空間の研究では,コロナ禍で滞っている国外被験者を対象とした実験を実施し,被験者の育成環境や布地知識の相違による布地質感評価空間への影響を比較検討する.また布地の視感技術の研究では,布地属性に適応した視感提示の実現を評価語毎の評価および総合評価の観点から検討すると共に,3次元CG映像による布地質感の動的表現技術を検討する.最後に布地の触感技術の研究では,布地接触時の環境(布地の表面温度など)と質感評価との関係を踏まえた触感提示技術の開発を進める.更に,視感・触感融合技術の最終形態となる接触および非接触による提示技術の設計を開始する.
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備考 |
日本感性工学会における発表にて、優秀発表賞2件を受賞 映像情報メディア学会における発表にて、研究奨励賞1件を受賞
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