我々の開発したHLA遺伝子(A、B、C、DP、DQ、DR)の型を全ゲノムシークエンスデータに基づき決定する方法により決定されたHLA方を用いることで、がん全ゲノムシークエンスデータから非翻訳領域までを含む SNV、Indel、Fusion などさまざまな体細胞変異から同定されるネオ抗原を同定することが出来る。本年度においては、このネオ抗原を高速に精度高く同定するための情報技術 Neoantimon を開発し Github において公開した(http://github/hase62/Neoantimon)。また、RNAシークエンスデータに基づき、浸潤免疫細胞を詳細に解析することで同じがん種で有りながらがん細胞の周辺に存在する免疫細胞の違いを微小環境と捉え、機能的パスウェイの違いとして抽出する解析技術を構築し、ICGC/TCGA PanCancer Analysis of Whole Genomes のデータに適用した。その結果、免疫細胞の浸潤の多い症例については、癌腫横断的に共通の免疫関連のパスウェイが活性化している一方、浸潤の少ない症例はがん種毎に活性化しているパスウェイに顕著な差が診られた。これは、所謂 cold tumor に相当し、免疫細胞の浸潤が少ないため免疫療法の有効性があまり高くなく、新たな治療法が求められるグループであると考えられる。これらの cold tumor と思われる症例においてがん種毎に異なるパスウェイは、新たな治療量的と考えられ、共同研究者のもとでその治療戦略をマウスモデルなども構築しながら立案するように研究は展開している。
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