研究課題
翻訳アレストを網羅的に同定するために、進化的に保存されたアミノ酸配列をコードするuORF(CPuORF)をゲノムワイドに探索するためのパイプラインであるESUCAを完成させた。ESUCAパイプラインを用いて、動植物のゲノムから1,462個の新規CPuORFを同定した。それらのCPuORFの中から、実験的機能検証として、一過的発現解析により、アミノ酸配列依存的に主要ORFの翻訳を抑制するものを11個同定した。また、胃がん発症機構の解明のため、本年度は、以下の研究を行った。(1)国立がん研究センターの64種の胃がん細胞株について、マイクロアレイによる遺伝子発現情報、SNPアレイデータからのゲノムコピー数情報、メチル化定量アレイを用いて、ゲノムのメチル化状態を測定した。(2)このうち、ゲノムコピー数の変化とともに、発現変動する遺伝子の絞り込みを行い、高度遺伝子増幅かつ過剰発現する新たながん遺伝子候補を網羅した。
2: おおむね順調に進展している
ESUCAパイプラインを完成し、その方法論についての論文を国際学術誌に発表することができた。また、独自に樹立した腹膜転移性胃がん細胞株、64種について、順調に、ゲノム、トランスクリプトーム、メチロームの3層オミクスデータが取得され、ゲノムコピー数とマイクロアレイデータの2層統合解析を終えた。特に、遅れは認められない。
uORFの中にはAUG以外の開始コドンから翻訳が始まる非AUG開始型uORFも存在するため、今後は進化的に保存された翻訳アレスト配列を持つ非AUG開始型uORFについても探索を行っていく。また、胃がんについては、高度遺伝子増幅領域内の遺伝子発現がプロモーターのメチル化と関連しているか、メチロームデータとの3層オミクス統合解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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