研究課題/領域番号 |
18H03334
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
山西 芳裕 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60437267)
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研究分担者 |
土方 康基 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (80460856)
沖米田 司 関西学院大学, 理工学部, 教授 (90398248)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 機械学習 / ビッグデータ / 創薬 / 人工知能 / 難治性疾患 |
研究実績の概要 |
本研究では、医薬ビッグデータと人工知能(AI)の基盤技術である機械学習を用いた創薬「AI創薬」を提唱し、それを実現するための情報基盤技術を構築する。開発手法で化合物をインシリコスクリーニングし、予測結果をウェット実験で検証し、有望な治療薬候補化合物を同定することを目標とする。 令和元年度は、昨年に引き続き、化合物、タンパク質、疾患に関する医薬ビッグデータを、インターネットや文献、データベースから適時収集して整備した。特に本年は、植物や食品成分の化合物に関する情報を、様々なデータベースから得て、情報解析可能な形に整備した。また糖鎖に関与する遺伝子やタンパク質に関する情報を、様々なデータベースから得て、情報解析可能な形に整備した。難治性疾患に関するオミックス情報は、GEOなどのデータベースから得て、情報解析可能な形に整備した。 そして、化合物の標的タンパク質プロファイルを構築した。グラフ畳み込みニューラルネットワークで、化合物の標的タンパク質プロファイルを予測するためのモデルのプロトタイプを構築した。マルチタスク学習によるアルゴリズムや、化合物の化学構造の適用範囲を考慮したアルゴリズムも構築した。 次に、疾患に対して効能を持つ化合物を予測する手法の開発を行った。疾患のオミックスデータや分子ネットワーク情報を用いて、疾患の分子機序の類似性を評価する手法を開発した。疾患類似性が、治療標的や薬の共通性に対応するかを検証した。さらに、疾患間の共通性や疾患の特異性に関与する分子を抽出する方法を提案した。 予測結果の検証のため、実験プラットフォームを構築した。抗がん作用を評価できる試薬や提案手法で予測された化合物を用意し、がんに対する検証の準備を行った。嚢胞性線維症の治療効果は、CFTRへの作用などで評価するため、その評価系構築し、予測結果の一部を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、予定通り、化合物、タンパク質、疾患に関する医薬ビッグデータを、インターネットや文献、データベースから適時収集して整備し、適時更新することができた。 予定通り、グラフ畳み込みニューラルネットワークに基づくアルゴリズムを実装し、化合物の標的タンパク質プロファイルを予測するためのモデルのプロトタイプを構築することができた。学習データの中の化合物と予測対象化合物の類似性を考慮し、適用範囲を考慮した機械学習の予測モデルの構築を行った。適用範囲外にある化合物は考慮しない手順の改良を行い、予測スコア上位の化合物の精度が大幅に向上することを確認できた。その結果は論文で発表した。 予定通り、疾患のオミックスデータや分子ネットワーク情報を用いて、疾患の分子機序の類似性を評価する機械学習の手法を開発することができた。さらに、疾患間の共通性や疾患の特異性に関与する分子を抽出する方法を提案した。予定通り、実験プラットフォームを構築し、予測結果の実験検証を始めている。 これらの研究成果や部分的な成果は、論文発表(2件)や学会口頭発表(6件、そのうち招待講演は5件)した。以上より、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、化合物、タンパク質、疾患に関するデータを、インターネットや文献、データベースから適時収集して情報整備する。化合物に関する情報やタンパク質に関する情報、本研究の対象疾患に関する分子機序情報を、世界中の様々なデータベースから得て、最新版に更新する。特に本年度は疾患のエピゲノム関連データや化合物のトランスクリプトームのデータを充実させ、より正確に疾患や化合物の特徴を捉えることができるように情報解析を行う。 疾患の分子プロファイルの類似性と分子ネットワークの類似性を用いて、疾患間の類似性をより精密に評価する方法を確立する。そして、疾患に対して、医薬品候補となる化合物をスクリーニングする手法を実装する。治療標的や治療薬の共通性を更に検証し、新薬候補化合物予測における性能の評価を行う。グラフ畳み込みニューラルネットワークのハイパーパラメータ最適化を、ベイズ最適化を用いて行う方法を検討する。 引き続き実験プラットフォームを完成させ、提案する機械学習手法によって大規模予測を行い、その化合物の抗癌作用や嚢胞性線維症の治療効果を評価する。
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