研究課題/領域番号 |
18H03345
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
瀬田 和久 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (50304051)
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研究分担者 |
小尻 智子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (40362298)
林 佑樹 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (40633524)
田中 孝治 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 講師 (60583672)
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80212786)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Scaffolding / Fadding |
研究実績の概要 |
HCIやHRIなどの研究分野においては,外界から直接観測できない情動的な側面の分析や支援を試みる研究が近年盛んに行われている.本研究では,サービス業のようなタスクレベルで一定の共通性を持つ会話構造に着目し,汎用的な会話制御モデルについて検討した.そして,会話シナリオオーサーリングシステムにおける会話シナリオの構成概念の整理(概念設計)及び会話フローの宣言的仕様記述の方法を策定した.具体的には,Ferrario が提唱するサービスタスクの一般構造モデルを参照する形で,(1)会話ドメインに依存しないタスク構造(例:サービスタスクの構造)と,(2)ドメインに特化した会話制御ロジック(例:レストランでのドメイン制約)の区別に基づいた会話制御機構を設計した.この構成をとることで,シナリオ構築時は,(2) のみに集中することになり,オーサリングの負担を軽減することが期待できる.そして,サービスタスクの共通構造とドメイン制約に基づく動的な会話制御の仕組みについても検討した.さらに,学習者の第二言語コミュニケーション意欲の成長段階に応じた足場かけの提要とフェーディングの仕組みについても実証的に検討した.また,前述のFerrarioによる3種の一般サービス行為に基づく一定の本質的な共通性を持つサービス構造モデルを採用することにより,サービス行為を動的に会話の対象に追加・削減することで,柔軟にシナリオ,及び会話の難易度を変化させる仕組みを実現する着想にいたった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習者の第二言語コミュニケーション意欲の成長段階に応じた足場かけの提要とフェーディングの仕組みの設計が概ね終了し,引き続き計画に沿って進めることができる状態にあるため.
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今後の研究の推進方策 |
オーサリング環境の実装により会話シナリオの充実を図り,実証研究の規模を拡大し,会話の難易度,会話戦略,システム利用の頻度,WTC向上度の相互関係を明らかにする第二言語WTC成長モデルについて考察する.そして,様々な授業場面での学習者に対する教師の役割,授業前後で用いるシステムの導入法を多面的に明らかにすることで,授業実践モデルについても考察する.また,種の一般サービス行為に基づいて,学習者の習熟度にあわせて基礎的内容から発展的内容にシナリオを段階的に移行させ,また,その移行の際には,動機付け向上に資する働きかけ(e.g. 自己成長感を実感させる情動的働きかけや励ましなど)をシステムが適応的に生成できるようにすることをめざす.
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