研究課題/領域番号 |
18H03350
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 知道 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60392958)
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研究分担者 |
彦坂 幸毅 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10272006)
小林 秀樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 北極環境変動総合研究センター, ユニットリーダー代理 (10392961)
市井 和仁 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (50345865)
野田 響 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (60467214)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リモートセンシング / CO2吸収量 / 生態系タイプ / 生態系モデル / 分光観測 |
研究実績の概要 |
テーマ① SIF生成・放出・消散に関する個葉/生態系プロセスの検証:室内実験による個葉ストレス環境下での、SIFの葉・太陽の角度に対する依存性を調べた。また超高分解能分光放射計QEpro(OceanOptics社)をつくば市真瀬の水田および岐阜県高山市に設置し、5-10分間隔で測定されたスペクトルから、スペクトラルフィッティング法でO2-A SIFを計算した。その結果は、他の研究によるものと同等強度になり、観測がうまくいっていることがわかった。一方で、露光時間の調整や、光スイッチに問題が多発し、欠測も多く発生したが、概ね解決されたため、次年度よりスムースな観測が期待される。 テーマ② SIF-光合成機能関係の生態系タイプ間の差における制御要因の解明:GPP-SIF関係の解明については、テーマ①でのSIF計算作業からのデータを待っている。テーマ①で測定された地上SIFは、衛星GOSATによるSIFとの同様の季節変化を示しており、両観測が一貫性のあるものであることが示唆された。 テーマ③ SIFモデル-データ融合による生態系炭素循環の推定精度の評価:SIFを取り扱う森林3次元放射伝達モデルFLiES-SIFのプロトタイプが完成し、記述論文を投稿した(Sakai et al., in submission)。さらにTKYサイトにおけるSIFおよびGPPの再現検証実験を行った。その結果、TKYにおける観測SIFをある程度再現することが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマ① SIF生成・放出・消散に関する個葉/生態系プロセスの検証:室内実験による個葉モデル構築は、非常に順調に進んでいる。一方で、超高分解能分光放射計によるSIF観測もプロトコルが安定してきており、2019年シーズンよりTKY,MSEなど複数サイトのSIFデータが取得されている。 テーマ② SIF-光合成機能関係の生態系タイプ間の差における制御要因の解明:中程度分解能分光放射計によるSIFデータと高分解分光放射データによるSIFの比較が進んでおり、過去データへのスケーリング係数の適用までもう少しのところまで来ている。さらに衛星データについてはGOSATとの比較も進んでおり、概ね順調に進んでいる。 テーマ③ SIFモデル-データ融合による生態系炭素循環の推定精度の評価:森林3次元放射伝達モデルFLiES-SIFは、論文投稿が済み、TKYでの検証を一部完了したため順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
テーマ① SIF生成・放出・消散に関する個葉/生態系プロセスの検証:室内実験による個葉モデルの構築は、引き続き他の植物タイプへ展開する。また超高分解能分光放射計によるデータは引き続きTKY,MSEを中心にSIFを計算するとともに、各種衛星との比較も行う。 テーマ② SIF-光合成機能関係の生態系タイプ間の差における制御要因の解明:GPP-SIF関係をTKY,MSEを中心に進める。衛星データによる不確実性は、GOSATの観測点データを引き続き収集および解析を行う。 テーマ③ SIFモデル-データ融合による生態系炭素循環の推定精度の評価:森林3次元放射伝達モデルは、FLiES-SIFを岐阜県高山市のフラックスサイトに対して適用し、推定精度の検証を行う。
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