研究課題
2020年度は、COVID19の影響から海外におけるすべてのフィールドワークを停止せざるを得なかった。一方、大雪山系における永久凍土研究のため、5月の調査時に破損した測器の修復およびテレメトリシステムの構築準備を行った。また、研究協力者によって実施された2020年無積雪期の現地測量では、5月下旬から6月下旬にかけて2 c m強の沈降が測定され、その後8月末までの沈降は0.5cm強であった。また、現地測量点における沈降の時間変化は実測変位データと同様の変化傾向を示しており、干渉解析の有効性が確認できた。しかし、干渉解析で検出された5-6月の沈降量は1 cm弱であり、測量結果と比べて過小評価となった。この差異は,現地測量と干渉解析の空間代表性の違いによると考えられる。この2020年までのInSAR解析および現場検証について、阿部ほか(2021)に発表した。東シベリアでは中央ヤクーチアの調査地マイヤにてInSAR解析の結果を検証するために、約35測量点を含む30 x 30mの5つのプロットにおいて2018-2019年の9月下旬から10月初旬に比高測量を実施した。サーモカルスト沈下の進行は、対象地全体の平均値としてInSARでも整合的な結果が得られたが、より詳細な検証には観測の継続と観測点の追加が必要であることが示唆された。これらの研究結果はAbe et al. (2021)として公表した。2020年度は研究代表者らによる現地調査は中止されたが、現地の研究協力者によって2020年9月、バタガイにおいて2018年、および2019年8月の火災跡地を再訪し、継続的な地表面測量を実施した。これまでのInSAR解析結果は共同研究者A. N. Fedorov氏を通じて地域コミュニティーに提示された。
3: やや遅れている
2020年度は、COVID19の影響から研究代表者らによるすべてのフィールドワークを停止せざるを得なかった。予定通り進められなかった内容は、2021年度へ持ち越して実施した。衛星画像解析は予定通りに実施することができた。
2022年度は、本課題最終年度に当たる。対象とした観測値のうち、これまでに成果が公表された大雪山系および東シベリアにつづいて、アラスカでの研究結果について論文にまとめることを予定している。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Earth, Planets and Space
巻: 72 ページ: 138
10.1186/s40623-020-01266-3