ガスの凝縮や粒子同士の凝集により大気中で時々刻々と変化するナノ粒子を化学的に追跡するには、時間的にも粒径的にも高分解能な捕集装置をデザインし、さらに高感度な化学分析と組み合わせる必要がある。本研究では、ナノ粒子の凝縮成長と表面増強ラマン散乱(SERS)効果を組み合わせた全く新しい概念の粒子捕集、ならびに超高感度分析法を提案し、室内実験や野外観測を通じてその実用性を検証した。その結果、直径20nmという極めて小さい個々のナノ粒子から主成分である硫酸や有機物のピークを半定量的に同定することに成功した。これは、従来の個別エアロゾル分析の検出下限サイズを大幅に更新するものである。
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