研究課題/領域番号 |
18H03357
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊勢 武史 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (00518318)
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研究分担者 |
渡部 俊太郎 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 研究員 (00782335)
佐藤 永 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 北極環境変動総合研究センター, 研究員 (50392965)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 深層学習 / 自動識別 / リモートセンシング / コンピュータビジョン / 外来種 |
研究実績の概要 |
画像の自動識別などの情報科学分野で素晴らしい性能を誇るディープラーニングだが、植物の自動識別への応用はむずかしいとされてきた。しかし本研究では、発想の転換に基づく新技術を用いることで植物へのディープラーニングの応用と自動識別が可能であることを実証し、その成果は我々が直面している環境問題の現状把握にすぐにでも役立つことを示す。挑戦性ともに高いテーマだが、すでにコケ植物に対する研究代表者の先行研究では、種ごとの「植物らしさ」の自動識別が可能であることが示されており、その結果は国際的に注目されている。本研究は多様な植物の判別に用いることのできる普遍性を持った自動識別を実現するため、後述のchopped picture method(こま切れ画像法)の大規模な適用を行った。我が国における侵略がいちじるしい外来種に、オオキンケイギクおよびセイタカアワダチソウがある。これらは比較的大型の草本であり、特に花期にはよく目立ち、肉眼での識別が容易である。これに目をつけ、花期に合わせてフィールド調査を行うことで、これらを撮影した静止画や動画を取得した。同時にGPSデータも記録し、撮影位置を把握した。これらのデータから植物体を自動検出するモデルの作成に成功した。今年度は、ディープラーニングフレームワークDIGITSを利用し、効果的な自動識別を実装した。これにより、広域で低コストでの侵略的外来植物の把握が可能となる。本研究はディープラーニングの新技術開発を加速し、その応用の遅れていた環境諸学・生態学・林学などの分野での発展が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の研究経費の繰越を申請した理由は、深層学習についての専門的な知見を要するポスドク研究員の雇用がむずかしいことであった。本年度は、本研究の実施にあたり理想的な人材を確保することができ、春季のオオキンケイギク、秋季のセイタカアワダチソウという代表的な外来種のフィールド調査およびデータ分析を順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの知見をもとに深層学習による自動識別を発展させ、より高精度の予測が可能となるようにモデルをブラッシュアップしていく。さらに、シチズンサイエンスによるデータ取得を見据え、開発されたモデルを市民に提供するスマートフォンアプリの開発なども検討する。
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