研究課題
約270万年前の氷期-間氷期サイクルの誕生と大西洋子午面循環の変動の関係を調査するために、アイスランド南方沖のガーダー・ドリフトから回収された海底堆積物(IODP Site U1314コア試料)のマルチプロキシー分析を行い、290~240万年前の古気候・古海洋データを獲得した。本年度に主に取り組んだ分析は、1. 底生有孔虫化石の酸素同位体比分析(大陸氷床量の指標)、2. 堆積物に含まれるice rafted debrisの同定・計数と全岩試料のXRD解析(大陸氷床の崩壊の指標)、3. 全岩試料の等温残留磁化付加実験とその成分分離解析、および底生有孔虫化石の炭素同位体比分析(北大西洋深層水の強度変化の指標)、4. アルケノン分析(海洋の表層水温の指標)、5. 珪藻化石の群集解析(表層の北大西洋海流の強度変化の指標)である。この内の1と4、および5の分析は数千年間隔で実施し、2と3の分析は数百年間隔で実施することで、各々の古環境記録を高解像度で復元した。本プロジェクトの分析データから、大西洋子午面循環は氷期-間氷期サイクルの誕生と同じタイミングで270万年前に強化されていたことが分かった。また、270万年前よりも後には、大西洋子午面循環は各氷期の前半に活発に維持され、その後半には大陸氷床由来の氷山の溶け水の影響で弱化していたことが判明した。氷期-間氷期サイクルを誕生させるためには、270万年前よりも後の各氷期の前半に大西洋子午面循環が活発に維持されていたことが重要であったと仮説を立て、分析データと共に論文を公表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://isgs.kyushu-u.ac.jp/research_topics/view.php?page=0&searchText=&researchId=24