研究課題/領域番号 |
18H03359
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 特任教授 (70142099)
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研究分担者 |
板橋 秀一 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (10714537)
王 哲 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (30791602)
弓本 桂也 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (50607786)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 東アジア / PM2.5レジーム / 経年変化 / モデル解析 / 排出量変化 / COVID-19 |
研究実績の概要 |
中国では強力な排出規制政策の施行に伴い、PM2.5濃度の急速な減少が確認されている。2012年から2017年にかけて、中国からのSO2、NOxの総排出量はそれぞれ約63%、約24%減少したことを示した。同時に、日本国内のPM2.5濃度も2014年以降減少が見られ、観測地点のうち、PM2.5を満足する割合も減少し、PM2.5環境基準(日平均35μg/m3、年平均15μg/m3)は、2014年度(2014年4月~2015年3月)の37.8%から2017年度には89.9%に増加した。ただし、量的な関係中国におけるPM2.5の改善と風下地域のPM2.5濃度との関係はよく分かっていない。本研究では(1)中国の環境改善による影響を定量的に評価し化学輸送モデルを用いた発生源・受容体解析により、風下地域のPM2.5濃度を改善することを明らかにした。しかし、SO2とNOxの削減率の差は、アンモニア-硝酸-硫酸-水系の化学的不均衡により、硝酸塩の発生が多くなることになった。西日本の清浄な離島での観測と数値モデリングにより、PM2.5の中の主要成分が硫酸塩から硝酸塩に変化しつつある(パラダイムシフト)が確認され、この結果をUno et al. (2020, Scientific Reports)に発表した。 一方、COVID-19の蔓延に対し中国ではロックダウンという手段がとられ、この間には人為起源排出量が減少し、それによる大陸からの越境輸送も変容についても調べた。わが国の遠隔域(長崎県五島、島根県隠岐、新潟県巻、宮城県箟岳)におけるエアロゾル化学成分連続自動分析装置の観測データからは、2020年2月-3月には2018、2019年の同期間に比較してPM2.5、硫酸塩、硝酸塩濃度が30~50%程度減少したことが確認され、次年度以降に化学輸送モデルを用いて詳細な解析を行うことした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中国でのSO2, Nix, NH3の排出量の変化の風下地域に及ぼす影響をPM2.5観測地点(中国、韓国、日本)、福江島でのエアロゾルの組成解析、化学輸送モデルの数値解析から総合的に解析した。その結果は、Scientific Reportsの論文として受理された。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の蔓延に対し中国ではロックダウンという手段がとられ、この間には人為起源排出量が減少し、大陸からの越境輸送も変容についても調べた。わが国の遠隔域(長崎県五島、島根県隠岐、新潟県巻、宮城県箟岳)におけるエアロゾル化学成分連続自動分析装置の観測データからは、2020年2-3月には2018、2019年の同期間に比較してPM2.5、硫酸塩、硝酸塩濃度が30~50%程度減少したことが確認され、次年度以降に化学輸送モデルを用いて詳細な解析を行うことした。
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