研究課題/領域番号 |
18H03362
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
植山 雅仁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60508373)
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研究分担者 |
高橋 けんし 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (10303596)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メタンフラックス / 渦相関法 / 都市 / 連続観測 / 一酸化炭素フラックス |
研究実績の概要 |
都市中心部(堺市役所高層館屋上)と郊外(大阪府立大学建屋屋上)の2サイトに立ち上げた渦相関法によるCH4フラックス連続測定システムを維持した。都市サイトにおいてはCOフラックスの連続測定システムの維持管理をおこない、COフラックスの測定も継続した。フラックス測定システムについては、長期観測に向けての必要なノウハウの蓄積をはかり、管理方法を確立した。郊外サイトに関しては2019年6月、2020年1月にCH4ガス分析計に異常が見られた。郊外サイトのガス分析計は現在、業者に機器を返送中のため観測を中断し、都市サイトに関してはメンテナンス頻度を増やして観測を継続させている。 昨年度に試作したCH4・CO2濃度計を車載し温室効果気体を堺市内のCH4・CO2濃度の空間分布の観測を夏季に複数回実施した。また、人間活動の指標として大気汚染物質の分布も同時に測定した。 都市サイトのCH4フラックスを解析したところ、観測時の風向によりCH4フラックスが大きく変動することが分かった。そのため、フラックスフットプリントとCH4フラックスを詳細に解析する技法を開発した。都市サイトでは、日中に放出が高くなる定常的なCH4放出に加えて、下水処理場からのプルームと思われる放出が観測された。郊外サイトの半年間の計測データを解析したところ、昨年度と同様にCH4フラックスの季節変動に影響を及ぼす環境要因として気温や建物のガス使用量が重要であることが確認された。移動観測の結果、堺市内にはCH4濃度が常に高くなる点の放出源があることが分かった。CO2濃度は交通量に相関があると思われる線的な放出源が観測されたが、CH4に関してはこの点源と下水処理場や天然ガス貯蔵施設付近のプルームが主な放出源であると観測された。解析結果をまとめて、4件の学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた「フラックス観測システムの維持」と「移動観測システムの実施」はおおむね予定通りに実施できた。いっぽう、CH4ガス分析計の故障により郊外サイトの計測は中断しており、今後のコロナ対応による研究中断を鑑みると1年程度のデータが欠測している。現在、都市、郊外の2サイトについて、1年程度の連続データを蓄積することができ、日変化、季節変化、空間変化を評価するのに十分なデータがある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に構築した長期観測システムの保守・管理を行い、高品質なCH4フラックス、COフラックスのデータを蓄積させる。CH4ガス分析計の修理が完了し次第、郊外サイトでのCH4フラックスの観測と移動観測を再開させる。都市サイトについては、既に代替のCH4ガス分析計を業者から借り受けているため、コロナ問題が解決し次第、代替機器に機器更新し、故障した分析計の修理を行う。観測されたフラックスがどのような環境要因によって変動しているかを、気温などの物理環境に加えて、交通量やガス使用量などの人為起源の要因とも比較を行い、明らかにする。開発したCO2/CH4放出源の空間分布推定手法に関する論文を取りまとめる。得られた空間分布の解析結果を移動観測の結果と比較して、CH4放出源の空間分布を多面的に評価する。観測された年間CH4放出量を排出インベントリーの値と比較を行う。
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