研究課題
放射線被ばくによる染色体構造異常の形成機構について、DSBs修復に関連する蛋白質が損傷部位に集積し構築する「放射線誘発核内ドメイン」に注目し、染色体構造異常の形成メカニズムの解明に取り組む。また、低線量放射線被ばく、特に医療放射線被ばくによるゲノム障害について、染色体構造異常や放射線誘発核内ドメインをマーカーに用いて取り組む。これらの研究を推進することにより、分子細胞生物学的及び分子細胞遺伝学的観点から包括的な放射線の人体影響の解明に取り組む。1)放射線誘発核内ドメインの構造構築解析化学反応としてのゲノム修復に位置情報を組み入れた染色体構造異常の形成メカニズムを検討するために、超解像顕微鏡や次世 代シーケンサーを用いたHi-C解析を用いて放射線誘発核内ドメイン内部の微細構造及び染色体DNAとの関連についての解析を行う。平成30年度は、正常組織由来ヒト培養細胞株などについて、SUMO化修飾システムなどゲノム修復の制御に関わるタンパク質 翻訳後修飾システムの機能抑制による、RAD51フォーカスと損傷部位、相同部位の位置関係の変化を解析することで損傷部位と 相同部位との正確な会合のメカニズムの解明に取り組んだ。2)医療放射線被ばくのゲノム損傷評価本研究項目では、我々が開発した染色体解析技術であるPNA-FISH法を用いて、CT検査などの医療放射線被ばくによる染色体異常誘導の解析を行うことで、医療放射線被ばくの人体影響を定量的に評価する。さらに、gH2AXフォーカスなどの放射線誘発核内ドメインの自動解析システムを用いたゲノム損傷の定量的評価法の確立に取り組む。平成30年度は、広島大学病院で不整脈、 肝臓がんなどのためCT検査を受ける症例について、検査の前後に末梢血を採取し、これらの技術を用いてリンパ球についての二動原体染色体・環状染色体の検出を行った。
2: おおむね順調に進展している
放射線誘発核内ドメインの構造構築解析については、平成30年度は、正常組織由来ヒト培養細胞株などについて、SUMO化修飾システムなどゲノム修復の制御に関わるタンパク質 翻訳後修飾システムの機能抑制による、RAD51フォーカスと損傷部位、相同部位の位置関係の変化を解析することで損傷部位と 相同部位との正確な会合のメカニズムの解明に取り組んだ。医療放射線被ばくのゲノム損傷評価については、平成30年度は、広島大学病院で不整脈、 肝臓がんなどのためCT検査を受ける症例について、検査の前後に末梢血を採取し、これらの技術を用いてリンパ球についての二動原体染色体・環状染色体の検出を行った。
放射線誘発核内ドメインの構造構築解析については、引き続きRAD51フォーカスとRAD51以外の修復関連タンパク質が構築するgH2AXや53BP1フォーカスなどの放射線誘発核内ドメインとの相対的位置関係の変化を検討する。これらの解析を通して、損傷部位と姉妹染色分体上などの相同部位との正確な会合のメカニズムを明らかにすることで、染色体構造異常の形成機構の解明に取り組む。医療放射線被ばくのゲノム損傷評価については、引き続き、広島大学病院で不整脈、肝臓がんなどのためCT検査を受ける症例について、検査の前後に末梢血を採取し、この技術を用いてリンパ球についての二動原体染色体・環状染色体の検出を行い、CT検査による低線量被ばくの人体影響を評価するためのデータを蓄積する。さらにgH2AXフォーカスを用いたDNA損傷誘導についての検討も進める。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 7件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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