研究課題/領域番号 |
18H03376
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
盛武 敬 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 上席研究員 (50450432)
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研究分担者 |
掛田 伸吾 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30352313)
吉永 信治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50270616)
佐々木 洋 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60260840)
松丸 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70323300)
永田 竜朗 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80389460)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線白内障 / 頭部血管内治療 / インターベンショナルラジオロジー / 医療被ばく / 職業被ばく / 水晶体微少混濁 |
研究実績の概要 |
国際放射線防護委員会では、白内障の閥線量を従来の8Gyから0.5Gyへ大幅な引き下げを行ったが、現在も水晶体混濁の線量率依存性と白内障の進行性の問題は未解決のままである。そこで本研究では、未解決な2つの仮定、1急性被ばく、多分割・遷延被ばく、慢性被ばくによる水晶体影響に差異はない、2全ての微小水晶体混濁は視覚障害性白内障に進行する、の検証を試みることを第1の目的としている。 さらに、国内関係学会主導による後ろ向き被ばく線量調査を実施して、頭部IVR(脳血管内治療)による患者水晶体線量の実態把握、頭部IVR(脳血管内治療)に よる患者水晶体影響(白内障)の将来予測を試みることで、我が国の頭部IVR患者の水晶体防護のあり方を検証することを第2の目的とする。 この研究の基盤を整備するために、初年度は水晶体微小混濁を計測するための、眼科カメラ、測定装具一式を設計(特注)しこれを納品した。また、眼科的評価 手法のマニュアルを作成し、次年度以降の調査の準備を行った。 平成31年度(2年度目)は水晶体混濁を調査するフィールドとして、宮崎大学脳神経外科/眼科の設定を完了しデータの収集を開始した。また、本研究代表と分担研究者は、日本脳神経血管内治療学 会(JSNET)主導による、患者被ばく線量調査研究を立案、始動し、平成31年度(2年度目)は調査データの回収と解析を行い、令和2年3月に診断参考レベル2020のIVR(頭部/頸部領域)のデータ提出を完了した。これにより、令和2年7月(3年度目)にJapa DRLs 2020を公開するに至った。令和3年度(4年度目)は宮崎大学における頭部IVR実施患者の頭部線量分布を蓄積し、退院後も通院が可能な患者においては、水晶体混濁調査を実施した。また、高線量被ばくが予測される調査対象集団を関連学会会員に求め、日本脳神経血管内治療学会総会会場で調査実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者の水晶体調査を行うにあたっては、実働する脳神経外科医、眼科医、さらには線量測定を実施する放射線技師のどれが欠けても進めることができず、また、患者数の多寡も大きな要因となるため、これら全体的な調整に手間取っていることが最大の遅延の原因となっている。平成31年度にようやく宮崎大学のフィールド設定が完了し、データ収集が開始されることとなった。令和2年度はコロナ禍にあり患者の受診控えや治療の延期などで予定通りのデータ収集ができておらず、令和3年度にはようやく対象患者のエントリーが、ゆっくりとではあるがコンスタントに実施されつつある。また、2番目のフィールドとして、産業医科大学病院においても対象患者の被ばく線量測定が開始されることとなっているが、水晶体混濁調査には至っておらず、いずれにしても、研究開始当初の見込みには及ばず遅れていることに変わりない。
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今後の研究の推進方策 |
JSNETによる患者被ばく実態調査と診断参考レベル構築作業に関しては、令和2年度(3年度目)にJapan DRLs 2020の公開を完了したので、令和4年度(5年度目)は、次期Japan DRLs 2025準備として、JSNET内部の被ばく線量ガイドラインの刊行を目指す。 患者水晶体の実測と眼科医による水晶体微小混濁調査に関しては、宮崎大学に加えて、産業医大からのデータ収集を継続し、データ蓄積とスコアリング手法の完成を図りたい。
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