研究課題
環境から生体に曝露される金属元素の毒性は、その化学形に著しく依存している。すなわち、無機イオンと共有結合を持つ有機金属化合物では毒性が異なる。特定の金属元素が生体内でアルキル化代謝を受けることや有機金属化合物が脱アルキル化されることは知られていたが、その分子機構の詳細は、ごく一部の金属のメチル化以外は未だ明らかになっていない。本研究では、金属元素の(脱)アルキル化制御の分子基盤を解明することにより、予防薬学的研究を実施することを目的とした。最終年度は、メチル水銀の脱メチル化とセレン糖のメチル化の機構について検討を行った。さらにメチル水銀の脱メチル化において、腸内細菌叢が関与するかについても評価を行った。メチル水銀の脱メチル化については、セレノネインという特殊なアミノ酸が関与していることを明らかにした。その分子機構を解明するとともに、培養細胞でその機構を検証し、現在引き続いてin vivoでの検討を行っている。メチル水銀の脱メチル化の全容を明らかにする端緒を掴んだ。一方、セレンの主要な尿中代謝物であるセレン糖のメチル化の機構については、分子シミュレーションから想定される複数のメチルトランスフェラーゼの組換えタンパク質を生成し、メチル化の評価を行った。これまでに十数種類のメチルトランスフェラーゼの評価が終了しているが、今のところセレン糖のメチル化を担うものを見出すに至っていない。引き続き、検討を継続したいと考えている。腸内細菌叢により、メチル水銀の脱メチル化が進行することも確かめられたため、その分析法を含めて成果を取りまとめることとした。令和2年度に、ひらめき☆ときめきサイエンスにも採択されたため、本研究成果のアウトリーチ活動として、小学生を対象とした研究成果の社会還元を行った。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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