研究課題/領域番号 |
18H03386
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
寳來 佐和子 鳥取大学, 農学部, 准教授 (60512689)
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研究分担者 |
杉山 晶彦 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (00432609)
国末 達也 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90380287)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 微量元素 / 母子間移行 / 環境モニタリング / フイリマングース |
研究実績の概要 |
自然環境下における母子間の微量元素移行を明らかにするため、フイリマングースを用いた研究を遂行している。 当該年度は、ハワイ、西インド諸島の一島であるSt. Kitts島、沖縄にて捕獲を実施し、捕獲した母子ペアはそれぞれ19個体、20個体、18個体であった。目標とする20ペアに近く、不足分は来年度に実施する予定である。 沖縄に生息している本種の母子ペアに関する微量元素レベルの測定と移行の解析を実施した。Cr、Fe, Cu、Zn、Ga、Sr、Baの7元素が、肝臓中微量元素レベルの母子間比1を超過しており、これらの元素は母親よりも胎仔でより高い傾向を示すことが示唆された。妊娠に伴う子宮重量の変化と子宮中微量元素レベルとの関係を解析したところ、Mn、Cu、As、Se、Moは正の相関を示した。As以外は必須元素であることから、これらの必須元素は胎仔に積極的に供給されていることが推測された。そこで、母子ペアにおける肝臓と脳中レベルの比較解析を実施した結果、Znは肝臓、脳、どちらの臓器でも母親からある一定の割合で胎仔に供給される一方、Asは胎仔に移行しにくいことが示唆された。このことは胎盤による移行の選択機能が作用し、Znは胎盤を移行するが、Asの移行は制限されることが推察された。 母親の血液レベルが胎仔体内レベルに反映しうるかどうか関係解析を行った結果、O-Hgは有意な正の相関を示した(p < 0.05)(図4)。また、Pbの有意性はみられなかったが、正の関係が示された。両者はともに母親の血液中レベルが上昇すると、胎仔肝臓中レベルも増加することが示されたが、そのパターンには違いがみられ、O-HgはPbより胎仔肝臓において急激な上昇を引き起こすことが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度末に海外調査を実施する予定であったが、COVID-19の世界的感染拡大に伴い、出張自粛となった。来年度、いつ調査を再開できるか現在のところ不明であるため、研究が遅延する可能性は大きいと懸念している。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の世界的な感染の収束を待ち、移動解除がなされたら迅速に調査できるよう、準備を整えておく。
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