研究課題/領域番号 |
18H03392
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
児玉谷 仁 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (30434468)
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研究分担者 |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (10305162)
武内 章記 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (10469744)
山本 正浩 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 研究員 (60435849)
神崎 亮 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (50363320)
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (60217552)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メチル水銀 / コメ / 水田 / 土壌 / 水銀汚染 / 化学形態 / 稲 |
研究実績の概要 |
模擬水田実験では,土壌のメチル水銀濃度が稲の存在に影響を受けるか確認するため,水銀添加土壌を小型ポットに約4 kgいれたものを13個準備し,10個は稲を1株ずつ植え,3個は土壌のみとして湛水状態を維持し,各ポットから2週間に一度,表層土壌を採取して総水銀およびメチル水銀濃度の測定を進めた.稲を植えたポット(n = 10)の土壌メチル水銀濃度は,湛水にした直後の6月では1.6 ± 0.6 ug/kgであったが,7月には24.7 ± 17.3 ug/kgと濃度上昇が確認された.しかし,収穫時の11月には4.0 ± 1.2 μg/kgと低下していった.一方、稲を植えていないポットでも,同様の濃度変化が確認された.各ポットにおける根の状態は,土壌4kgを保持できるほど密に張り巡らされており,これらの結果から,少なくとも土壌のメチル水銀濃度の変化は,稲の吸収によるものではないことが確認された. 小型ポットから収穫された稲(n=10)の各部位の総水銀濃度は,根で5.52 ± 1.25 mg/kg ,穂(籾)で0.050 ± 0.012 mg/kgであった.一方,メチル水銀濃度は,根で20.5 ± 5.2 ug/kg,穂で43.6 ± 6.0 ug/kgであり,メチル水銀の選択的な蓄積が確認された. 水耕栽培実験では,コメの水銀汚染の最大値を確認するための予備実験を進めた.MeHg濃度100 ug/L(25 ug/0.25L)の培養液で育成した稲では,成長阻害が起こった.そこで25ugのメチル水銀を出穂の前までに複数回に分けて添加して育成を続けたところ,5 mg/kg程度の総水銀濃度を持つコメ(籾)が栽培された.これらの結果は,根表面のメチル水銀許容量に限界があるが,根の成長とともにメチル水銀が供給される状態だと,コメに取り込まれる水銀濃度も上昇していくものと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模擬水田実験では,稲の枯死等もなく良質な試料採取ができた.今後,未測定の試料の分析を進める.
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今後の研究の推進方策 |
水耕栽培の結果から,根のメチル水銀量は,培養液に添加したメチル水銀の積算量となり,コメの水銀濃度を決定する重要なファクターであることが確認された.通常の水田環境で考えるために,土壌で生成したメチル水銀が,根において安定に維持されるのか,また土壌メチル水銀の移動性(土壌メチル水銀濃度と間隙水中のメチル水銀濃度の関係)を明らかにする実験を進める.
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