研究課題
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の緊急課題となっているペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やペルフルオロオクタン酸(PFOA)に代表されるペルフルオロアルキル化合物群(PFASs)の環境残留性を評価するため、自然環境試料中に混合物として存在するPFASs全体で生じる段階的な分解反応の解析を行った。本年度は、解析に用いるガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS/MS)、飛行時間型質量分析計(TOFMS)および燃焼イオンクロマトグラフ(CIC:Combustion Ion Chromatography)を用いた測定方法について、さらなる分析感度の高感度化および機器・操作・測定資材等のブランクレベルの低減などにより、高精度・高感度での測定が可能になるよう、改善を図った。また、試料の抽出・および精製方法についても、各マトリックスごとに検討を行い、その結果、実環境試料として、大気中のガスおよび粒子成分、水道水、海水等の低濃度試料を対象とすることができた。開発したLC-MS/MS、GC-MS/MSおよびTOFMS分析方法を用いて、試料溶液中の対象成分、分解産物のターゲット分析および精密質量数やMS/MSスペクトル同定により網羅分析を行った。大気試料の捕集においては、粒子およびガス態で存在するのPFASを同時に捕集する方法を開発した。特に、活性炭繊維ろ紙(2枚)を用いることで、これまで捕集が困難であったFTOHなどの中性で半揮発性のPFASについても捕集できる方法となった。一方で、FOSAsは回収率が20%程度と低かった。2枚目の活性炭繊維ろ紙からはほとんど検出されなかったため、破かによる低回収率は考えられず、捕集中の分解が要因と考えられた。また、ターゲット分析で検出されたPFASのフッ素量は、CICにより推定された有機フッ素の1%程度に過ぎず、未知のPFASが大気中に存在することから、PFASの環境動態の解明のためには更なるPFASの探索が必要である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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