研究課題/領域番号 |
18H03396
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 和哉 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10581613)
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研究分担者 |
岩見 徳雄 明星大学, 理工学部, 准教授 (00353532)
杉浦 則夫 筑波大学, 生命環境系(名誉教授), 名誉教授 (10302374)
張 振亜 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20272156)
岡野 邦宏 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
雷 中方 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30634505)
内海 真生 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60323250)
板山 朋聡 長崎大学, 工学研究科, 教授 (80353530)
間世田 英明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (10372343)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 微小動物 / 腸内細菌 / 藍藻類 / 微生物群集構造 |
研究実績の概要 |
ワムシ1個体の塩基配列を解析する技術および水環境中のワムシをqPCR法により定量する技術も開発し、水環境や水処理装置内のワムシ個体群変動の解析を可能とした。一方、藍藻類捕食者を熱帯地域の上水源湖とレクリエーション池からそれぞれMicrocystis 属を捕食源として集積培養を行った後に分離した。どちらからも微小鞭毛虫を分離し、18S rRNA遺伝子塩基配列により同定したところ、温帯地域(国内)の微小鞭毛虫と同様であった。さらに、細菌群集構造を次世代シーケンサーにより解析した結果、どちらも類似した特徴をもっていることを明らかにした。したがって、温帯地域であっても、環境因子が熱帯地域と類似する状況の際は、類似した捕食者と細菌群集が顕在化すると考えられた。 一方、分離した有毒藍藻類の捕食者ワムシに、有毒株と無毒株をそれぞれ捕食させたところ、有毒株を捕食したワムシは、増殖したものの、無毒株を捕食したワムシは、ほぼ増殖しなかった。この培養を継続させ、無毒株捕食の系のワムシを有毒株に供したところ、ワムシが増殖したものの、増殖遅延が観察された。この結果と昨年度の知見から、微小鞭毛虫類で確認した様に共生ミクロシスチン分解菌が、有毒株の捕食時のワムシ増殖に影響を与えていると推測された。また有毒株捕食の系のワムシを無毒株に供したところ、無毒株捕食の系と同様にほぼ増殖しなかった。この結果は、各株の栄養素が影響していることも考えられるため、次年度に詳細な解析を実施する。 今年度、藍藻類が捕食に対して有毒物質microcystinの産生量を上昇させるデータを得た。これは、昨年度に得た知見である、捕食者がmicrocystin曝露に増殖阻害が示すことに加えて、microcystinが捕食者に対する防御機構のひとつであるといえる一次データといえる。このメカニズムについて詳細な解析を次年度に継続して実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、多くの研究知見を得られており、ワムシ1個体の塩基配列を解析する技術や藍藻類の有毒物質に対する捕食者の適応機構について明らかにできた。翌年度に継続して複数の成果を学術誌に発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度の研究成果に基づき、来年度は、捕食者の共生ミクロシスチン分解菌の分解機能の強化を図った株を用いて植物プランクトン除去システム内での安定性、捕食動態の解析を実施する。同時に、捕食者内の共生ミクロシスチン分解菌の動態の解明、富栄養化の原因である窒素・リンを除去する、水環境修型植物プランクトングラニュール水処理システムと植物プランクトン除去水環境改善システムの評価を実施する。
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