研究課題/領域番号 |
18H03406
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
押谷 潤 岡山理科大学, 工学部, 教授 (70314656)
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研究分担者 |
馬渡 佳秀 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (70380722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 建設廃棄物残渣 / 粉体特性 |
研究実績の概要 |
昨年度、サイズ分布やかさ密度分布、有機物含有率(熱灼減量)を測定した6種類の建設廃棄物残渣を対象に、同じく昨年度用意した振動流動装置を用いて分離試験を行ったところ、木片を多く含むサンプルが上層に、砂利を多く含むサンプルが下層に偏って存在する密度偏析が見られた。分離の指標として一般的な有機物含有率を示す熱灼減量(加熱処理した際の質量の減少割合)を下層のサンプルについて測定したところ、全ての建設廃棄物残渣において目的とした砂利と木片の分離を示す下層の有機物含有率5wt%未満を実現した。砂利の回収率を推算したところ、もともとの砂利の含有量にも依存するが、サンプルによっては90%を超えるものも存在し、砂利のリサイクルという観点で有意義な結果となった。いずれの建設廃棄物残渣においても、送風のみの流動層では密度偏析が生じず分離が行えず、振動を付加することによって分離が進行するという興味深い結果となった。さたに、建設廃棄物残渣の下部から送り込む空気の風速を多岐に変化させた実験では、建設廃棄物残渣が流動化し始める風速域(最小流動化速度付近)で顕著な分離が見られ、実用化で重要となる分離条件の最適化に向けた指針が得られた。パウダーレオメーターを用いた粉体流動性実験では、粉体の前処理としてあらかじめ攪拌用プロペラで粉体をかき混ぜる場合と下部からの送風で流動化させる場合とで、その後の測定で得られる流動性を示す数値に違いが見られるという新たな現象を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出どころの異なる6種類の建設廃棄物残渣全てにおいて、振動流動層を用いることで目的とした砂利と木片の分離を示す下層の有機物含有率5wt%未満を実現し、分離に適した風速の存在を明らかにしており、本研究課題で開発している振動流動層を用いた乾式密度差選別技術の有用性を示した。また、粉体流動性実験では粉体の前処理方法の違いによって流動性が異なるという新たな現象を明らかにした。以上により、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
建設廃棄物以外の様々な粒状混合物を対象にした分離実験も行い、現在開発中の流動層と振動層を融合した乾式密度差選別技術の信頼性の高さを明らかにする。2019年度の研究により、振動流動層下部の空気分散板に関するトラブルが見られたので、その対応方法を検討する。パウダーレオメーターを用いた粉体流動性実験では、サイズが小さく付着性の大きな粉体に着目し、難流動性を示すかどうかを検討する。
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