昨年度までの6種類に加えて新たに1種類の建設廃棄物残差(以下、建廃残渣)を対象に振動流動層装置を用いて分離試験を行った。また、それら7種類では前処理として篩を用いて大粒を除去した分級後に分離試験を行ったが、より実用性を高めるために未分級の建廃残渣についても分離試験を行った。いずれの建廃残渣においても木片を多く含むサンプルが上層に、砂利を多く含むサンプルが下層に偏って存在する密度偏析が見られるとともに、分離の指標として一般的な有機物含有率を示す熱灼減量を下層のサンプルについて測定したところ、目的とした砂利と木片の分離を示す下層の有機物含有率5wt%未満を実現した。また、昨年度の2種類の建廃残渣を用いて分離時間を変化させて実験を行ったところ、いずれのおいても10分ほどで分離が完了する結果となった。以上の計8種類の建廃残渣の分離試験により得られた結果をまとめることで、まずは計498個のデータより建廃残渣のかさ密度と熱灼減量の関係の実用性を有する良好な近似式が得られた。また、各建廃残渣の50%径が増加すると共に有機物含有率5wt%未満の回収率が最大となる風速も増加することが明らかとなり、こちらも実用性を有する良好な近似式が得られた。さらに、分離前の建廃残渣の熱灼減量(6~11%)と有機物含有率5wt%未満の回収率(30~90%)にも相関があり、あらかじめ熱灼減量が分かっていれば、振動流動層装置を用いることで有機物含有率5wt%未満をどの程度回収可能かを推定できることも明らかとなった。パウダーレオメーターを用いた粉体流動性実験では粒の形状に注目し、球形のガラスビーズと非球形の硅砂の混合割合を変化させて実験を行った。その結果、全体的に硅砂の混合割合の増加と共に流動性が低くなるが、10%以下のごく微量の混合状態では硅砂を含む方が逆に流動性が高くなるという興味深い現象を明らかにした。
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