研究課題/領域番号 |
18H03414
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
奥村 裕 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 東北区水産研究所, 主任研究員 (80371805)
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研究分担者 |
荒川 久幸 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40242325)
松岡 裕美 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (60222296)
鈴木 淳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (60344199)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地球温暖化 / 堆積年代 / 動植物プランクトン |
研究実績の概要 |
東北沿岸域における動植物プランクトンと気候変動との関係を調べ、また同時に過去の津波痕跡も把握するため、閉鎖性内湾の宮城県長面浦において、水深が異なる湾央、湾奥の2観測点で海上に組んだやぐらから柱状コアを2本ずつ採泥した。試料は目視観察後、クロロフィル濃度、放射性セシウム、放射性炭素安定同位体(AMS)、粒径分布、次世代シーケンサーによる18SrDNAのアンプリコンのシーケンスなどの各種分析を行った。目視観察や湾央の粒度分布測定より、湾央は砂質、湾奥は泥質と観測点により堆積状況が異なることを把握した。湾央で採取した堆積泥の層別クロロフィル濃度から東日本大震災による津波直後の植物プランクトンと考えられるクロロフィル極大を検出した。一方、貧酸素が観察される湾奥では表層から下層まで一定量のクロロフィルが残存していた。底泥や貝片中のAMS分析から東日本大震災より前の津波痕跡と推察される堆積層を検出し、採取した柱状試料の堆積履歴を把握した。表層泥から放射性セシウムを検出したことで湾央試料については震災後堆積泥であることを裏付けた。クロロフィルが残存していた湾奥試料について層別に底泥からDNAを抽出し、18SrDNAのアンプリコンシーケンスを行い、ソフトにより真核微生物の出現種を同定した。植物プランクトンの割合が高いことを確認しており、経時的な変動傾向について現在解析を進めている。また、過去の気候変動を把握するため、貝形虫の抽出を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
底質環境が柱状泥を採取するには難しかったが、今年度の最大の目標である柱状コアの採泥を終えたことと、各種分析について順調に進んでいる点から判断した。また、新たに他機関から年代既知の柱状泥を譲り受けることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
今回採取した試料に加え、他機関から譲り受けた試料などについても分析や解析を進める。放射性セシウム、放射性炭素安定同位体(AMS)、粒径分布については引き続き未分析試料について分析し、海底泥の堆積年代や堆積状況の把握を行う。前年度分析した試料の解析を進めるとともに、未分析試料について次世代シーケンサーを用いた層別底泥のアンプリコンシーケンスより真核微生物の出現種を同定し、経時的な変動傾向について把握する。貝形虫等の解析を進め、過去の気候変動を把握する。
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