研究課題/領域番号 |
18H03438
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
阪本 公美子 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (60333134)
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研究分担者 |
大森 玲子 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 教授 (70447259)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 野生食物 / タンザニア / アフリカ / 食 / 栄養 |
研究実績の概要 |
世界の食料問題を背景に、食料・栄養格差がすすむタンザニアにおいて、野生植物や在来食が人びとの栄養や健康を改善しうる可能性を探った。 (A)タンザニア食用資源(野生食物・在来食)発掘・栄養分析:タンザニアの中部ドドマ(半乾燥地)、南東部(海岸沿い、内陸)における食用資源に関して現地研究者の協力も仰ぎ、補足的な研究とともに、それらの栄養分析に関する先行研究を精力的に収集した。 (B)食生活・栄養摂取、野生食物・在来食の認識に関する研究:食生活・栄養摂取現地調査を成果としてとりまとめ、ドドマ、リンディ、穀物生産地イリンガ、都市ダルエスサラームの地域比較を行い、その成果を発表した。また、小学校でのアンケート調査を実施し、小学生の野生食物摂取・食品群摂取頻度・健康状態に関する予備的調査をリンディ市にて実施し、とりまとめ・分析し、その成果を発表し、野生食物の認識について考察した。同様の調査をダルエスサラームとプワニ州の小学校でも実施し、入力作業を開始した。 (C)上記の予定していた研究に加え、野生食物のQOL(主観的健康観)への影響に関する分析を行い、その結果を発表した。 (AB)野生食物・在来食・栄養分析結果のとりまとめ:国際シンポジウム、学会(日本アフリカ学会、国際開発学会、日本栄養・食糧学会)において、野生食物と健康、食品群別摂取頻度の地域・季節比較、小学校における予備的アンケート調査結果に関してとりまとめた研究結果を発表した。野生食物と健康、小学校における予備的アンケート調査結果、食品群摂取頻度と入手方法・個人差については、論文として発表した。野生・在来食用植物とその栄養素等に関する図鑑のとりまとめ、ならびに本研究の全貌を明らかにする図書の企画にも着手している。また現地タンザニアにおける研究成果の発表も準備を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新型コロナ禍の状況によって海外調査の実施は中止し、現地調査による情報収集はできなかったが、現地研究協力者の協力を仰ぎ、情報を収集することができた。 また、当初予定していなかった小学校アンケートも実施し、当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として、研究成果を対象地域及びタンザニア関係に還元し、将来の活用方法について提言・議論する。また国内外において学術的に発表する。具体的には A.タンザニア食用資源(野生植物・在来食)については、野生食用食物・作物とその栄養素等に関する図鑑『タンザニアの食用植物図鑑―中部半乾燥地ドドマ・南東部リンディ編』(仮題)のとりまとめ、ならびに本研究の全貌を明らかにする。 B.食生活・栄養摂取、野生植物・在来食と健康に関しては、(1) 半乾燥地における食用雑草の栄養価に関する論文をとりまとめ、発表する。(2) 食品群摂取頻度から各地の食事パターンを分析し、そのQOL・相互扶助・富との関係を分析し、論考を投稿する。(3)ダルエスサラームとプワニ州の小学校におけるアンケートについては、入力作業を継続し、学会発表や論文として発表する。 AB(1)全体的な研究成果としては、共編著図書 Changing Food Pattern, Indigenous Food, and Wild Food: In Relation to Wealth and Health in Tanzania(仮題) の出版企画もする。(2)これらの研究成果を、現地タンザニアにて受容しやすい形で発表・還元する。その上で、活用方法について提言・議論し、今後の課題についても明らかにする。
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