研究分担者 |
網中 昭世 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究員 (20512677)
大石 高典 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30528724)
佐藤 千鶴子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究員 (40425012)
坂井 真紀子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70624112)
桐越 仁美 国士舘大学, 文学部, 講師 (70793157)
松波 康男 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (90811125)
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研究実績の概要 |
2020年度には予定していた海外渡航ができず、予算を繰り越した。ただし、海外の共同研究者との連絡を続け、オンラインセミナーなどをつうじて成果出版に向けた準備を行った。2021年度も渡航はできなかったが、英文の研究成果(Shinichi Takeuchi ed. African Land Reform Under Economic Liberalisation - States, Chiefs, and Rural Communities. Singapore: Springer.)を刊行することができた。 本書は、1990年代以降アフリカ諸国が一斉に導入した土地制度改革を取り上げ、その背景や実態、そして結果について論じたものである。アフリカ9カ国に関する事例研究を所収し、各国の土地制度改革の実態を詳述するとともに、政党政治やチーフ制のあり方―すなわち政治、社会構造―が土地制度改革の帰結に大きく影響していることを明らかにした。 ガーナなどチーフの権限が強い国では土地制度改革がチーフの利益になる方向で実施される傾向にあるのに対して、ルワンダなど政権与党が強権的に政策を遂行する国々では、政策の結果として政党の利益が強化される傾向にある。いずれの場合も、土地制度改革が国家の土地管理能力を強化したかどうか疑わしい(少なくとも、議論の余地が大きい)。 この間、耕作者の土地に対する権利強化を謳って制度改革が進められてきたが、新自由主義的政策のなかで企業に対する土地移転が進み、またチーフによる土地配分権限が強化される一方、小農の土地に対する権利は脆弱なままである。本書は、土地制度改革の帰結、そして土地制度改革の成果を左右する要因を実態に基づいて解明した点で、重要な成果と評価できる。また、本書の刊行直前に2日にわたるオンラインセミナーを開催し、各執筆者がその内容を報告する機会を作った。
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