研究課題/領域番号 |
18H03440
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
黒木 英充 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20195580)
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研究分担者 |
佐原 哲也 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (70254125)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シリア / 内戦 / ユーゴスラビア / レバノン / イスラーム |
研究実績の概要 |
2018年度は初年度として、4月にメンバーによる研究打ち合わせ会合を行った後、研究代表者・黒木が7月、12月、3月にレバノンにおいて研究打ち合わせと資料収集を中心とした調査を行い、研究分担者・佐原が9月にトルコにおける資料収集を中心とした調査、研究協力者・高尾が8月にカタル、アラブ首長国連邦、レバノン、3月にフランス、ベルギーにおいて研究打ち合わせと資料調査を行った。これらにより、本研究に必要な研究資料を多数入手するとともに関連研究者との研究連絡がスムーズに行えることとなった。 2月上旬にはレバノンより3名、ロシアより1名、アメリカ合衆国より1名の研究者を招聘し、1週間にわたる連続的な研究会の機会をもった。3つの内戦の比較を多様な角度から試みるワークショップ(2月2日・明治大学和泉)、難民問題を中心とした研究会(2月6日・明治大学駿河台)、内戦の記憶をめぐるドキュメンタリー映画会議(2月8日・東京大学本郷、レバノン人映画監督との質疑応答含む)、戦後処理問題に関する研究会(2月9日・東京外国語大学)を集中的に開催し、深い議論を行うとともに、すべてを公開して関連研究者や学生・大学院生、関心を持つ社会人にも共有の機会を提供した。 現在レバノンのベイルートにある在シリア日本大使館での勤務を9月に終えて帰国した国際政治学者・小副川琢氏(専門はシリア・レバノン関係の国際政治学的分析、2019年4月より日本大学国際関係学部准教授)を研究協力者に迎え、研究態勢をより充実させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内戦の多層構造モデルについては概ねこれを評価して今後の議論の共通基盤とする理解が成立した。また、特にレバノン内戦との比較の点で重要な、内戦の主体と外部勢力との関係づくりの問題、国際社会とりわけ国連という最大の国際的組織の介入の実態、戦争の記憶が戦後も長く人々の意識を拘束するというミクロの問題、国内避難民の再定住問題に関する行政の対応について、具体的な問題の把握が可能となった。またユーゴスラビア内戦との比較についてはロシアという大国の、ソ連の冷戦時代からソ連崩壊直後の混乱、そしてプーチン大統領という強力な指導者による介入主体としての復活といった局面を再認識するとともに、レバノン・ユーゴ・シリアを具体的に結ぶ武器移転と難民問題の大枠を明らかにすることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初、2年度目はボスニアのサラエボでの国際会議を想定していたが、関連研究者の配置の問題から、より研究活動が活発な隣国セルビアのベオグラードにて開催することとした。 内戦における民兵組織の問題について主に取り上げる予定である。文献等資料収集とより広い関連研究者との関係づくりも継続的に進めてゆく予定である。
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