研究課題/領域番号 |
18H03441
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
藤本 武 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (20351190)
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研究分担者 |
石山 俊 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, プロジェクト研究員 (10508865)
藤岡 悠一郎 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (10756159)
小松 かおり 北海学園大学, 人文学部, 教授 (30334949)
佐藤 靖明 大阪産業大学, デザイン工学部, 准教授 (30533616)
石川 博樹 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (40552378)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アフリカ / 食文化 / 食料主権 / 在来知 / 主食 / グローバル化 / 都市化 |
研究実績の概要 |
本科研2年目の昨年度はサハラ・オアシスにおける食文化とその変容に関する現地調査をアルジェリア東部のエル・ウェド県内で分担者の石山が実施した。また各メンバーはこれまでの調査資料や文献資料の整理・分析を進めた。 国内では研究会(アフリカ食文化研究会)を2回開催した(うち1回は京都精華大学の協力を得て公開シンポジウムであった)。研究会で行ったことはおもに以下であった。1)メンバーがこれまで把握している調査対象国地域・社会の食文化について発表を行い、メンバー間で情報共有をはかり、今後の課題などについて議論を行った。不十分な点を明確にするとともに、今後の本格的な現地調査に向けて課題を明らかにした。食料主権はまだ新しい概念であることから、食料主権に詳しいゲストスピーカーに発表をお願いし、メンバー間で理解を深めた。2)アフリカ研究者を対象とした食文化に関するアンケートの実施方法およびアンケート票の原案を作成し、その内容について議論を進めた。3)本科研の成果は最終年度の2021年度末に英文雑誌で発表することを当初計画していたが、その前に2020年度末に和文雑誌の特集号で発表することで内諾を得た。 なお、本科研研究の内容を一般向けに周知するため科研ホームページを作成し、年度末に公開した。国立民族学博物館が推進する地域研究画像デジタルライブラリ―(DiPLAS)に昨年度より参加し、アフリカの食文化について画像やその情報提供を通じて社会に発信していく活動も推進しつつある。また京都精華大学で開催した公開シンポジウムでは80名以上の参加者を得て活発な議論を行うことができた。アフリカの食文化についての関心の高さを感じるとともに研究のさらなる進展が必要であることが明らかとなった。 また各メンバーはこれまでの調査分析をふまえて着実に研究実績を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は本科研で予定していた海外調査を実施する一年目であったが、予定通り海外調査を実施できたメンバーもいた一方で、諸般の事情から計画通り実施できなかったメンバーもいた。この点だけで見た場合には「やや遅れている」と言わざるを得ない。ただし以下見るように、トータルで見た場合にはおおむね順調に進展しているといえる。 まず、国内研究会を開催し、一定の成果を得ることができた。具体的にはまず、メンバー各人がこれまでに蓄積してきた食文化の研究をメンバー間で共有し、今後の課題を明らかにすることができた。これは前年度から継続してきていることである。また本研究課題が貢献することを目指す食料主権についてゲストスピーカーに発表いただき、よりいっそう理解を深めることができた。前年度より行っているアフリカ研究者を対象に実施する予定の食文化のアンケート案についてさらに検討を行うことができた。 しかし昨年度の重要な進展として、本科研のウェブサイトを立ち上げ、これまで行ってきた研究会の活動概要を報告し、社会的な発信を行っていくことができたことがある。また一般市民向けの活動として、京都精華大学の協力のもと、公開シンポジウムを開催し、活発な議論を行うことができたことも挙げられる。京都精華大学と良好な関係を築くことができ、今後も公開シンポジウムを開催することができると思われ、本科研にとっては当初予定していなかった思いがけない成果であった。また国立民族学博物館の地域研究画像デジタルライブラ―(DiPLAS)に前年度より参加し、アフリカの食文化に関する画像とその情報提供を通じて、社会に発信していく準備も進めている。このように社会貢献活動は当初予定していたより進展させることができ、調査活動の遅れを補うものであったといえる。 さらに和文での成果発表を行っていく計画を立てられたことも一つの進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
本科研3年目の本年度、アフリカ各地で現地調査を実施する予定である。主食となる食材と調理法を詳細に把握し、比較可能な方法で記述・分析する。地域の環境利用とのかかわりに着目し、人々が食についてどのような在来知を持ちながら、日々の食材や調理の選択・決定を行っているのかについてデータを収集する。また、従来の研究の限界を克服するため、歴史的変化についても聞き取りと文献資料により把握を試みる。 調査で得たデータをもとに、年3回程度開く研究会(アフリカ食文化研究会)で発表し、成果を共有する。地域間の差異だけでなく、グローバル化や都市化の進展に伴う食文化の変化について共通点が見られないか注意深く検討を行う。食料主権について議論していく際の不可欠な視点と思われるためである。また研究会では、食料主権に詳しい外部講師を招いて最新の知見を披露していただいたり、アフリカで現地調査を行っている研究者に現地の食文化について発表を行っていただく。すでに複数の方から発表の内諾を得ている。 また作成中のアフリカ研究者向けの食文化に関するアンケートもブラッシュアップを図り、今年度中に予備的なアンケート調査を実施する予定である。単なるアンケートで終わるのでなく、密な協力の得られる研究者を一定数確保し、その方たちと最終的な成果発表まで参画してもらうことを検討している。 研究会で成果発表の細部について議論し、合意を図ったうえで年度末には本科研の成果の第一弾として和文雑誌(『農耕の技術と文化』)の特集号で論文発表を行っていく予定である。 なお、本年度、新型コロナの感染拡大に伴い、現地調査を実施することが難しい場合には、参加メンバーの追加なども検討し、柔軟に対応することで、成果発表に甚大な影響が及ばないように工夫してやっていく。 最終年度である来年度は補足的な現地調査を行うとともに、英文誌への成果発表を中心に進めていく方針である。
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