研究課題/領域番号 |
18H03442
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西 真如 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定准教授 (10444473)
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研究分担者 |
栗本 英世 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10192569)
波佐間 逸博 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (20547997)
佐藤 靖明 大阪産業大学, デザイン工学部, 准教授 (30533616)
杉木 明子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (40368478)
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 名誉教授 (60191938)
坂井 紀公子 金沢星稜大学, 教養教育部, 講師 (70722023)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ケアの生態学 / うなづき症候群 / オンコセルカ関連てんかん |
研究実績の概要 |
てんかん患者とその家族の生活環境を把握するための調査票を開発し、その実効性を確認するための小規模な世帯調査を実施した。ウガンダ北部の農村で生活する難治性てんかん患者の中には、知的障害や運動障害を伴う者もいるが、多くは可能な範囲で生計労働・家事労働に参加している。青年期の女性患者の中には出産を経験した者も少なくなく、患者の育児がどのように支えられるかも重要な課題である。他方で患者を抱えた世帯は、マラリアや関節痛といったさまざまな疾病を抱えており、てんかんは世帯の疾病負荷の一部でしかないことも明らかになった。なお患者の生活を支えるための日常的なケア関係についても質問したが、今回の調査票では明確な結果を得られなかったため質問紙の再検討が必要である。 当該年度の8月には、カンパラで開催されたアフリカてんかん学会において本研究課題に関するポスター発表をおこなった。また12月には、ベルギーのアントワープ熱帯研究所を往訪し、熱帯医学や医療人類学を専門とする同研究所のスタッフと、オンコセルカ関連てんかん(OAE)の研究に関する情報交換をおこなった。OAEに類似したてんかんの流行はウガンダ北部の他、南スーダンやカメルーンでも報告されているが、いずれの流行地でも、寄生虫オンコセルカの影響に対する住民の脆弱性を高めるような環境改変が流行の引き金となっている可能性があることが確認された。地域の生態-社会環境に着目した本研究課題のアプローチのもと、協力してOAEの調査研究を進めることで合意が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
世帯調査票を開発し、その有効性を確認するための現地調査を実施したこと、アフリカてんかん学会で本研究課題のデザインについて報告し、フィードバックを得られたこと、さらにアントワープ熱帯研究所の研究者とのネットワークづくりもできたことから、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの流行により、本報告書の作成時点で、現地調査の見通しを立てることが困難となっている。渡航規制の状況に応じ、現地のカウンターパートと緊密に連絡を取りながら、可能であれば現地調査を実施する。また現地調査が困難な場合でも、調査票の開発や、てんかん患者への包括的ケアに関連した理論的枠組みの検討などを中心に研究を進めていく予定である。
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