研究課題/領域番号 |
18H03445
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 初梅 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20609573)
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研究分担者 |
所澤 潤 立正大学, 心理学部, 教授 (00235722)
石井 清輝 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (30555206)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 台湾 / 日本 / オーラルヒストリー / 集合的記憶 / 植民地 / 引揚者 / 学校 / 同窓会 |
研究成果の概要 |
本研究は、台湾の対日観が、戦後の歴史的経緯の中で形成されたことを、次の3点に注目して具体的に示したものである。①国民党政府の対日政策には、日本的要素の容認と排除という矛盾した両面があり、台湾人の対日感情に大きな影響をもたらした。②戦後、経済復興の遅れ、また言語・文化への転換の困難さが、台湾人の対日評価の見直しを促した。③日本人引揚者が台湾を再訪して同窓生と交流し、学校記憶が同窓会というネットワークによって維持された。そうした集合的記憶の形成過程があったため、台湾における日本時代の記憶は、戦後政策を背景に更新され、相対化された側面があり、次第に1990年以降の台湾社会へと浸透していった。
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自由記述の分野 |
近現代台湾研究、歴史社会学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
旧植民地における日本的要素の残存は、従来帝国主義や植民地主義の影響から論じられることが多かったが、戦後国民党の対日政策との関わりの中で形成された文化的装置としての「日本」の実態を捉えようとしたのが本研究の独自性である。特筆すべきは、研究期間において開催された国際研究集会の論考が『二つの時代を生きた台湾―言語・文化の相克と日本の残照』(三元社、2021)に成果としてまとめられたことである。台湾と日本の関係が、戦後70年を経て日本語世代から非日本語世代へ引き継がれようとしている今日、同書は台湾人にとっても日本人にとっても、自己認識のために重要な問題提起になるものと期待される。
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