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2018 年度 実績報告書

開発途上国の気候変動に関する報告能力の評価手法開発

研究課題

研究課題/領域番号 18H03449
研究機関桜美林大学

研究代表者

藤倉 まなみ  桜美林大学, 総合科学系, 教授 (30458955)

研究分担者 藤倉 良  法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード報告義務 / UNFCCC / フィリピン / ベトナム / GHGインベントリ
研究実績の概要

気候変動枠組み条約(UNFCCC)の下で義務づけられた報告書の提出が遅れているフィリピンの遅延要因を、モントリオール議定書の下での報告義務の履行状況と比較した。それにあたり、政策の「履行可能性」と制度・機構における「スケール」の概念を援用した。その結果、フィリピンでは、モントリオール議定書における報告義務が、UNFCCCにおける報告義務より履行が比較的容易であることが判明した。また、オゾン層対策と比較して、気候変動対策が行政機構上のより高位で扱われるようになったことから、より広範な機関の関与と、一層の能力強化が求められた結果、報告能力向上の成果発現に、より時間を要している状況であることが明らかとなった。上記の結果は、国際環境条約の下での透明性に必要な報告書の提出という、比較的短期の周期で求められる具体的な成果の発現と、開発途上国の自律的で長期的な能力強化の実現とをどう両立させていくのか、ドナーにとっても課題となることを示している。
さらに、ベトナムとフィリピンにおける国家GHGインベントリ策定の実施体制を比較検討するとともに、①国家GHGインベントリ・レポートの更新頻度と質、②NDC緩和策の立案プロセスに対する国家GHGインベントリの貢献度の側面について両国を比較した。その結果、これら2つの側面で両国間に相違があり、それが国家GHGインベントリの実施体制上の相違に起因している可能性が高いことが認められた。ベトナムについては、上記①の側面で高く評価されたものの、②における評価は高くなく、両者の評価が必ずしも両立しないことも示された。パリ協定の発効に伴い、透明性にかかる能力強化支援が重要視される中、本研究の結果は、国家GHGインベントリの制度設計のあり方が、NDCとの効果的な連携の度合いに影響を及ぼし得ることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初計画より前倒しで調査がすすめられている。すでに1篇の論文が刊行され、これに続く1篇が投稿中である。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究事例であるフィリピン、ベトナムのほか、新たにインドネシア、タイを事例として取り上げ、これら4カ国における国家GHGインベントリの制度・体制上の共通点や相違点を整理する。さらに、国家GHGインベントリ・レポートの更新頻度や質等の報告能力について、4カ国を比較検討する。それにより、報告能力の相違が国家GHGインベントリの制度設計上の差異に由来するものか否か、由来するとすればどのような関連があるのかについて考察を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Comparative Study of Reporting for Transparency under International Agreements on Climate Change and Ozone Protection: The Case of the Philippines2019

    • 著者名/発表者名
      Masato Kawanishi, Makoto Kato, Emiko Matsuda, and Ryo Fujikura
    • 雑誌名

      International Journal of Environmental Science and Development

      巻: 10(1) ページ: 1-8

    • DOI

      10.18178/ijesd.2019.10.1.1137

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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