研究課題/領域番号 |
18H03452
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
倉田 徹 立教大学, 法学部, 教授 (00507361)
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研究分担者 |
曽根 康雄 日本大学, 経済学部, 教授 (00459851)
倉田 明子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20636211)
澤田 ゆかり 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50313268)
村井 寛志 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (60409919)
廣江 倫子 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (90361849)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 香港 / 中国 / 民主化 / デモ / 抗議活動 / アイデンティティ / ナショナリズム / 経済統合 |
研究実績の概要 |
2020年度は当初、9月初旬に投開票が予定されていた香港立法会議員選挙の視察を中心として、8月から9月にかけて合同の現地調査のため香港を訪問する計画を立てていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行が世界的な拡大を見せ、各国政府および研究代表者・研究分担者の所属機関がいずれも海外渡航や出入国を厳しく制限する事態となり、日本からの渡航が実施不能となったのみならず、香港からの研究者の招聘についても、模索したものの本年度を通して実行できない状態となった。 日本国内でも緊急事態宣言が発出されるなど、外出や集会の制限が広がったため、定例の研究会の開催も一時中断したが、6月以降オンラインでの研究会を再開し、2020年6月14日・7月25日・8月29日・10月3日・11月8日・12月13日・2021年1月24日・2月28日・3月21日と9回の開催を実現した。研究会においては代表者・分担者に加え、それ以外の若手も多数招待して、活発に議論を行った。いずれもオンライン開催となったが、代表者・分担者や若手研究者の研究成果の報告と議論は有意義な形で行うことができ、研究活動を維持することができた。 こうした中で、前年度までの研究の成果を発表する活動を強化する方針に活動を切り替えた。代表者・分担者全員が順次参加する形で、霞山会『東亜』誌に本プロジェクトの名を冠した連載「香港に見る中国的価値観の受容と抵抗」と題した連載を6回にわたって順次掲載したほか、研究代表者の単著『香港政治危機』の発刊など、多様な研究業績の刊行が実現された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
香港現地調査を柱とする本研究は、2020年度には極めて大きな不測の困難の直撃を受けた。まず、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、渡航が不可能となったため、インタビューや図書館での資料調査などといった、本プロジェクトが当初予定した正常な研究活動が不可能となった。香港情勢の情報収集は、書籍の購入とオンラインでの香港での研究活動への参加などの方法に限られてしまった。それに加えて、2020年6月30日に、政治活動や言論活動に対して幅広い規制を加える「香港国家安全維持法」が現地で制定・施行され、それ以後、政界人やメディア関係者が多数逮捕されるという事態が発生した。このため、現地の研究者も発言を控えざるを得なくなり、当方の情報収集もかつてない困難に直面した。 結果的に2020年度内に予定された研究活動を完成させることはできず、補助金の繰り越しを申請したが、渡航と招聘はいずれも2021年度に至るまで実現できなかった。残念ながら、当初の計画よりも研究がやや遅れてしまっていることは認めざるを得ない。 他方、日本国内での研究活動については、オンライン研究会を高い頻度で開催するなど、停滞してしまっているわけではない。とりわけ、研究業績の刊行に関しては、完成年度を待たずして代表者・分担者のいずれもが多数の著作を発表することができており、この点に限ればむしろ計画以上に進んでいると評価することも可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては香港での現地調査の実施が非常に重要な位置を占めているが、新型コロナウイルス感染症の拡大と、現地の政治情勢の緊張のため、その実現が困難な状況が長期化しており、再開の見通しは立たない。2017年に提出した当初の申請書では2021年度に香港でインタビュー調査を行うともに、当方のメンバーで現地を訪ねて研究報告を行うことが構想されており、実現可能であればその実施を試みたいが、非常に難しい可能性が高い。 このため、日本国内およびオンラインでできることを、さらに強化して実施することを考えている。オンライン化された定例の研究会は引き続き開催するとともに、条件が許せば、東京外国語大学または立教大学などを会場とする、正常な形式での開催を目指したい。また、従来の計画では、最終年度である2021年度を本プロジェクトの最終成果の出版準備に充てる予定であったが、代表者・分担者のいずれもが研究業績をすでに順調に積み重ねていることを踏まえ、論文集の刊行を前倒しで実現することを目指す。
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