今後の研究の推進方策 |
1) 共鳴非弾性軟X線散乱による高エネルギーマグノン観測に関して、2018,2019年度に開発した角度分解共鳴非弾性軟X線散乱システムを用いて、試料中のマグノンの分散の取得を行う。さらに、試料に高周波を印加することによってマグノンを誘起させた状態でのRIXS測定も行い、マグノン分散の高周波による変調を捉え、周波数に対するスペクトル変化の依存性、マグノンの分散の変化(エネルギー・波数依存性)について系統的に観測することにより、高周波によるマグノン誘起の機構、デバイス中でのマグノンの制御の可能性について議論へと展開する。 2)X線偏光歳差分光法の開発に関して、2018,2019年度に開発した測定システムの小改良を行った上で、実際の試料の測定を行う。X線偏光歳差分光の測定では、共鳴条件と非共鳴条件の差分を取ることによるバックグランド除去の重要性が明らかとなり、このために必要なCCD検出器の角度調整機構を導入する小改良を施すことによって、測定効率の大幅な向上を目指す。試料の測定では、磁場と高周波を印加し、マグノンの位相を揃えた上で、X線偏光歳差分光法を適用できるようにし、比較的低エネルギーのマグノンの観測を行う。最終的には散乱角依存性による分散測定の実現可能性までも検証を行う計画である。
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