研究課題
A. ヒトホット試験および代謝物分析に向けたキャビティーリングダウン分光法(CRDS)に基づく放射性炭素(C-14)分析法の高感度化と代謝物分析法の開発CRDSに基づくC-14分析法の感度を向上させる手法として、二酸化炭素の光吸収過程における飽和効果を利用した飽和吸収CRDSがある。そこで、飽和吸収CRDSを行う実験系を構築し、信号取得に成功した。しかし、現装置では、飽和効果が低く、共振器内光強度を高める必要があることが明らかとなったため、その改善法について検討した。代謝物分析の候補化合物であるメチオニンを対象として、移動相の有機溶媒による持ち込み炭素の影響を評価し、前処理・試料導入部にて十分に低減できることが確認できた。これにより、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とCRDSシステムをカップリングして、HPLC分画試料中のC-14分析が実現できる見通しが得られた。B. 代謝イメージングのための2重同位体標識薬剤の開発炭素同位体標識薬剤の候補化合物としてメチオニンを用いることとし、細胞を用いた代謝物解析の基礎的検討に取り掛かった。。また、マウスに経口投与したC-14標識化合物の体内位置をC-14より放出されるβ線起因の制動X線によってイメージングすることに成功した。さらに、トリチウムからβ線に起因する制動X線イメージングも実現した。
3: やや遅れている
ヒトホット試験および代謝物分析に向けた14C-CRDSの高感度化に向けた見通しが得られており、計画通り進捗している。一方、代謝物分析に関しては、分析のスループット向上にむけた試料導入法の研究を優先し、年度末にHPLC分画試料を測定する計画としていたため、一連の分画試料を測定するには至らなかったため、若干の遅れが生じた。マウスを用いた実験を実施し、C-14標識化合物の体内位置を体外からイメージングできることが実証されており、代謝分析に向けて順調に進捗している。薬物代謝物分析についても検討は、細胞を用いた評価などの準備が進められており、若干の遅れが見られるものの、期間内に予定している研究を進められる状況と考えている。
14C-CRDSの高感度化につながるいくつかの方策を組み合わせることで、最適化を進める。また、代謝物分析のために要素技術の開発を進め、本手法によるHPLC分画試料測定性能の評価を行う。これらの結果をもとに、炭素同位体標識薬剤の候補化合物について、代謝物分析・イメージングの適用性を評価する予定である。
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Journal of Instrumentation
巻: 15 ページ: P04006
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Biomedical Physics & Engineering Express
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