研究課題
宇宙線ラジオグラフィは、宇宙線中に含まれる極めて高い透過力を持つ素粒子「ミューオン」を用いる事でX線レントゲン撮影と同様の原理で厚い物体の内部を非破壊で可視化する技術である。我々は、「原子核乾板」による宇宙線ミューオンラジオグラフィ技術の開発を推進してきた。本研究では、原子核乾板を観測対象物の周囲または内部の複数地点に設置して同時に観測を行う事で、観測対象内部の3次元分布の可視化を可能とする「宇宙線ミューオントモグラフィ」の基盤技術の構築を進めた。クフ王のピラミッドのアルマムーンの通路に設置したCOP(シクロオリフェンポリマー)を用いた原子核乾板の解析を進めた。また、下降通路およびアルマムーンの通路に設置した原子核乾板のシミュレーションおよび解析手法の開発により、下降通路上部かつシェブロンと呼ばれるピラミッド北面の切妻構造背後に発見した通路状の空間の形状を直方体と仮定して数センチの精度で決定した。これらの結果をまとめた論文を発表した(Nature Communications(2023))。原子核乾板の性能、COPを用いた原子核乾板およびガラス両面塗布型の新しい原子核乾板について性能等を評価した結果をまとめた論文を発表した(NIMA(2020, 2021, 2022))。イタリアのナポリの地下遺跡を調査した結果を解析した。その結果、市街地の地下に墓室と考えられる未知の空洞を発見した。この結果をまとめた論文を投稿した。ホンジュラスのコパン遺跡の11号神殿において神殿内の未知の空洞を探査した結果、2m以上の王墓級の空洞は発見されなかった。これら2つの遺跡およびエジプトのクフ王のピラミッドの重量軽減の間に共通する課題として、石材からの放射線による原子核乾板のノイズ向上が挙げられる。この問題に対して、検出器の放射線耐性の向上を行った。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 4件、 招待講演 8件) 備考 (2件)
Nature Communications
巻: 14 ページ: -
10.1038/s41467-023-36351-0
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 1034 ページ: 166741~166741
10.1016/j.nima.2022.166741
巻: 1006 ページ: 165427~165427
10.1016/j.nima.2021.165427
巻: 966 ページ: 163850~163850
10.1016/j.nima.2020.163850
巻: 975 ページ: 164163~164163
10.1016/j.nima.2020.164163
http://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/2011/appli/muon/
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2023/03/post-469.html