研究課題/領域番号 |
18H03483
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 浩司 京都大学, 情報学研究科, 特定教授 (90214600)
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研究分担者 |
平岡 敏洋 東京大学, 生産技術研究所, 特任教授 (30311749)
西本 一志 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (50313721)
岡田 美智男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50374096)
仲谷 善雄 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70388130)
泉 朋子 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70551505)
北村 尊義 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (20757637)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デザイン論 / 人間機械系 / ヒューマンインタフェース / システム論 / 不便益 |
研究実績の概要 |
目的:道具を使うときに「手間がかかることや頭を使わされること」を不便と呼ぶと,一般には不便なデザインは忌避される.一方で,「人を含む系」をデザイン対象に置くとき,人からシステムへの働きかけは本質であり,上記の意味での不便は忌避されるどころか効用をもたらすものである.そうとは言え,ただ闇雲に不便にすれば効用がもたらされるわけではない.そこで本研究課題では,不便と効用との関係を明らかにするとともに,それを積極的に活用するデザインを指向し,その方法論の策定を目的とする. 計画:人に手間をかけさせてくれる人工物(道具やシステム)をモノと呼んで,「人―モノ」 系,「人―モノ―人」 系,「人―モノ―環境」 系という3つの大きさのスコープにデザイン対象を整理し,それぞれのスコープにおけるデザイン実践と被験者実験を通して得られる知見を統合する. 本年度実施内容,意義,重要性:本年度は,3つのグループがそれぞれのフィールドで実施した研究を持ち寄り知見を交換する場として,国際会議と国内学会のそれぞれで1件づつ,オーガナイズドセッションを実施した. ・HCI2019 International (26-31 July, Orland, Florida, USA) Benefits of Inconvenience in Human Machine Interaction - I, II (HCI S045, 5papers,HCI S067 , 4papers) ・2019 SICEシステム情報部門大会 SSI2019(11月23日~25日 千葉大学西千葉キャンパス)SS12: 不便益システム論(9件)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は第2ステージを迎え,第1ステージで得られた知見を統合した体系の暫定版に基づいて,各グループが以下に示す3つのフィールドにおいて実験を重ね,暫定版を試用するとともに知見を深め,体系の精緻化に寄与する知見を[体系化Gr]へ提出するフェーズにあった. [人―モノGr]では,プラットフォームとして2台目の弱いロボットを導入した. [人―モノ―人Gr]では,人と人とを媒介する系(モノ)として第1ステージとは異なるスケッチ学習システムを作成した. [人―モノ―環境Gr]では,実験装置として観光ナビに加え,速度制限を超えると速度表示が消えるという不便のあるバイクを作成して実験した. 上記の概要に示すとおり,各グループで得られた知見は,1つの国内学会と1つの国際会議で持ち寄り,交換され,各グループは[体系化Gr]との議論を重ねており,概ね,予定通りである.また,[体系化Gr]が実施する計画であったデザインワークショップは,不便益システム研究会の一環として,2019年8月9日と2020年1月17日にキャンパスプラザ京都にある京都大学サテライト講習室で実施した.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は最終年度であり,2019年度同様に国際会議や国内学会で知見を持ち寄り交換する機会を持った上で,最終報告をする計画であったが,昨今の新型コロナウィルス禍のために,今年度に予定していた国際会議のオーガナイズドセッション申込みは取りやめた.これに代わる機会の提供を検討している.
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