研究課題/領域番号 |
18H03486
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
馬場 哲晃 首都大学東京, システムデザイン学部, 准教授 (30514096)
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研究分担者 |
渡邉 英徳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00514085)
釜江 常好 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (90011618)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 支援技術 / 物体検出 / 視覚障害 / ナビゲーション / データセット / 深層学習 |
研究実績の概要 |
予定していたデータセット開発とそれを利用したナビゲーション実装を実施することができた。全方位カメラに関してはモビリティの観点から被験者実験には現実的ではないと判断し、スマートフォンカメラを利用することにした。データセット開発では、3万枚の画像に対して50万インスタンスのアノテーションを完了している。開発したデータセットを基に生成させた学習済みモデルはプロジェクトウェブサイト上( https://tetsuakibaba.jp/project/vidvip )にて2020年6月18日より一般公開を予定している。PCだけでなく、スマートフォン上で実時間動作する学習済みモデルをあわせて公開することで、手軽に歩道移動時の障害物検知システムを実装することが可能になった。開発したデータセットを応用し、本研究期間中に共同研究をスタートした企業とナビゲーションシステムも合わせて開発し、すでに80名近い被験者実験を行った。被験者からの評価は好意的なものが多く、安全面を慎重に進める必要はあるが、信号機や横断歩道、点字ブロックや押し釦等の様々な視覚障害支援物体検出を高精度且つスマートフォン上で完結できた意義は大きい。今後もデータセットの開発を継続すると同時にその他の応用(車椅子や一般歩行者の安全性向上技術)等も考えられる。今後はベータ版として開発済みのスマートフォンアプリケーションのテストが完了したため、2021年度はこのアプリケーションをリリースすることで、多くのユーザが手軽に日本全国の画像データを収集することが可能となる。
なお、物体検出データセットに関しては一定の精度を達成できたため、現在はsegmentationによるデータセット開発を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍もあり、被験者実験や広島平和記念公園でのワークショップ等の実施が困難な状況が続いたが、被験者実験は2019年度より合計80名程度のユーザ評価を行うことができた。前半の実験分についてはVR学会論文誌にてすでに報告済みであるが、2020年度に実施した実験については現在論文誌を一遍投稿中である。データセット開発においては物体検出として十分な数量と精度を実現できた。当初予定にはなかったがsegumentationデータセットの開発も2021年4月より開始している。一方で全方位カメラの利用は、実験環境やモビリティの観点から現在ではスマートフォンカメラ、またはメガネ型カメラを利用しており、当初からの計画変更も余儀なくされたが、実現するサービスとしては社会実装レベルに近いものが開発できている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は広島平和記念公園におけるワークショップ(視覚障害者向け平和学習等)にて開発したデータセット及びナビゲーションシステムを実施する予定である。
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