研究課題/領域番号 |
18H03491
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
歳森 敦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (80222149)
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研究分担者 |
溝上 智惠子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (40283030)
松林 麻実子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 講師 (10359581)
上保 秀夫 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00571184)
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (50261813)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 記憶の継承 / オーラルヒストリー / デジタルアーカイブ |
研究実績の概要 |
公共図書館における新しいサービスの方向性として,市井の人々が日常生活の中で蓄積していく「地域記憶」を対象に,高齢者世代と若者世代の両者が有する地域記憶を収集し,それらを世代間で効果的に伝達できる,オーラルヒストリーのデジタルアーカイブシステムを開発することを目指して,基礎的な準備を進めた. 研究初年度として,既存のデジタルアーカイブシステムについての調査を研究企画時から継続して行ったことと,VR関係の民生用録画録音機器の技術情報収集・評価を行って,学内のスタジオ環境と学外で採録するための可搬環境の両用ができるような録画録音用機材(360度VRカメラ,補助マイク,照明機器,録画制御用ノートPC等)とVR生成用ワークステーション及びその再生機器(VRゴーグルと平面ディスプレイ)一式の仕様を定めて購入した.また,この際に検索機能開発用サーバとVR生成用ワークステーションを一台で併用することが困難であるとの判断に至り,画像検索用サーバを追加で購入した. これらの基盤整備が進んだため,当初計画にもとづいて高齢者によるパイロット調査を実施したが,機器の調整を行いながらの撮影で準備を含めると長時間を要したため,当初計画よりも規模をやや縮小した.引き続いて,VR化された素材をもとに,カメラ位置等の評価を進めるとともに,地域記憶の語りのヒントとなる素材の提示方法について検討を進めている. 検索機能の開発については基礎技術の開発を進め,それら研究の発表・出版を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パイロット調査は当初の計画よりもやや小規模となったが,撮影の留意点やインタビューの方法問題点はかなり明らかになっており,2年目にごく確認的なパイロット調査を実施すれば十分と判断している. 録画撮影機材と再生機材は計画通り調達を終了し,機器を相互接続しての動作も確認済みであり,パイロット調査の実施を通して実働状態として申し分ないことを確認済みである. 検索機能の開発については対象となるデータが収集前であるため,計画通り予備的な開発を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
第一プロジェクト:高齢者および若者の「地域記憶」の収集【溝上,松林,辻(協力)】 前年度に実施した高齢者を対象とするパイロット調査を継続するとともに,その結果の検討をすすめて,本調査を15名程度の規模で実施する.また,若者を対象とするパイロット調査も並行して実施する. 第二プロジェクト:「地域記憶」に対するアクセシビリティの向上【上保,于(協力)】 第一プロジェクトで実施したインタビュー調査の録音をもとに,地域記憶をテキスト化し,そのテキストデータに対してユーザの記憶内容に関連した資料をアーカイブから効率的に検索し,かつ検索結果を理解しやすいように要約して提供する検索システムの構築を行う。本年度はデータのテキスト化と昨年度購入済みのサーバ上で検索システムの構築を開始する. 第三プロジェクト:VR技術を用いた「地域記憶」の提供【歳森,宇陀】 VRを用いた地域記憶の提供の仕組みを構築し,若者を対象とする評価実験を行う.
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